近年の世相を反映し、変化する新卒学生の企業選びの基準

 マイナビは、1979年卒より毎年実施している「大学生就職意識調査」の最新結果を公表しました。この調査の対象は、2023年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生(調査開始時点:現4年生)で、有効回答数は35,543名となっています。

 今回はこの調査の中から、主要な項目について見ていきましょう。
(1)就職観

  • 「楽しく働きたい」が37.6%とトップ。次いで22.7%の「個人の生活と仕事を両立させたい」、13.5%の「人のためになる仕事をしたい」。

(2)企業を選択するポイント

  • ここ10年間、毎年、右肩上がりで上昇し、トップの回答となっているのが「安定している会社」で43.9%
  • 以前、圧倒的1位であった「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」は、年々減少し、32.8%の2位。
  • 3位は「給料の良い会社」で19.1%。これはここ10年じわじわと上昇している。一方、「働きがいのある会社」は年々低下。

(3)安定性を感じるポイント

  • 企業を選択するポイントの1位である安定性を感じるポイントとして挙げられている上位は以下の通り。
     53.3% 福利厚生が充実している
     46.6% 安心して働ける環境である
     37.4% 売上高
     36.0% 今後成長が見込まれる業界・企業である
     35.5% 業界大手である
     35.4% 離職率や平均勤続年数

(4)行きたくない会社

  • トップは「ノルマのきつそうな会社」の37.4%であるが、ここ5年で急伸しているのは「転勤の多い会社」で26.6%。かつて圧倒的1位であった「暗い雰囲気の会社(27.1%)」と来年にも逆転するのは確実。
  • その他、ここ10年で伸びているのは「給料の安い会社」「残業が多い会社」という回答。

 このように見るといまの学生は、仕事の内容よりも、楽しさやワークライフバランス、安定性を重視している傾向が強くなっていることが分かります。残業や転勤がなく、一方で給料や福利厚生がよい会社を希望すると言ってしまうと、「いまどきの若者は」という声が聞こえてきそうですが、彼らが育ってきたこの20年の環境を踏まえれば、そのような考えとなることもある程度仕方がないのではないかと思われます。人事担当者としては、こうした学生の気質の変化を理解し、寄り添いながらも、その後の活躍に繋がるような意識付けを行っていく必要があるのではないでしょうか。


参考リンク
マイナビ「2023年卒大学生就職意識調査(2022/4/26)」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20220426_27155/

(大津章敬)