2022年度の新入社員の理想とする年収が大幅増加 35歳時点で6,953,122円

 この時期になると、今春の新入社員を対象とした調査結果がいろいろと公表されます。今回は産業能率大学総合研究所が公表した「2022年度 新入社員の会社生活調査(第33回)」を取り上げましょう。この調査は、1990年度から実施されているもので、同学開催の新入社員研修の受講者が対象となっており、有効回答数は244人となっています。今回はその中から、賃金に関する事項について見てみたいと思います。
(1)働く上での重要事項
 まず、「あなたは「働く」上で、どのようなことが自分にとって重要だと感じますか?」という設問に関しては、トップが「長期間、安心して働けること」(57.4%)、次いで「仕事内容に見合う報酬が得られること」(47.1%)となっています。後者は過去最高の数値となった一方、「仕事を通じて自分自身が成長すること」は前年度の61.8%から38.1%へ急落、また「自分の意思で仕事に取り組めること」もここ2年間で、26.9%→17.4%→11.1%と半減しています。

(2)希望する人事制度
 年齢や在籍年数に応じて昇進や待遇が決まる年功序列的な人事制度と、業績に応じて決まる成果主義的に人事制度ではどちらを望みますか?という設問において、「成果主義」を希望するとの回答は61.1%と近年では最高となりました。なお、60%代となるのは、2012年度以来、10年振りとなっています。
2015年度 56.3%
2016年度 52.9%
2017年度 54.5%
2018年度 55.4%
2019年度 56.4%
2020年度 59.0%
2021年度 57.0%
2022年度 61.1%

(3)理想の年収額
 35歳の時点での理想の年収額については、前年度から1,359,868円もの大幅増加の6,953,122円となっています。
2015年度 5,780,556円
2016年度 6,265,969円
2017年度 6,039,582円
2018年度 6,156,778円
2019年度 6,084,352円
2020年度 6,088,732円
2021年度 5,593,254円
2022年度 6,953,122円

 こうした新入社員を対象とした調査は、その時々の世相に相当左右されるものですが、世間の賃上げにニュースや800万円以上の求人を謳ったテレビCMなどの影響なのでしょうか。賃金へのこだわりが非常に強く感じられる結果となっています。今後、年収増加を期待して、転職を繰り返す若手社員が増加することになるかも知れません。企業の人事制度も、より貢献度を評価し、処遇に反映する仕組みが求められます。


参考リンク
産業能率大学総合研究所「2022年度 新入社員の会社生活調査(第33回)2022/7/8」
https://www.hj.sanno.ac.jp/cp/research-report/2022/07/08-01.html

(大津章敬)