トラック等の自動車運転者を使用する事業場に対する監督指導 8割が労働基準関係法令違反

 トラックドライバーは深刻な求人難となっており、過重労働の問題が懸念されていますが、先日、厚生労働省より自動車運転者を使用する事業場に対する令和3年の監督指導、送検等の状況が公表されました。

 これによれば監督指導を実施した事業場は3,770事業場で、このうち、労働基準関係法令違反が認められたのは、3,054事業場(81.0%)と8割を超えました。また、改善基準告示違反が認められたのは、2,010事業場(53.3%)でした。また、労働基準関係法令違反の内容をみてみると、労働時間が45.1%、割増賃金の支払いが21.2%、時間把握が7.5%となっています。

 その他、今回公表された資料には、監督指導の実例として、労働時間を適正に把握していないことが疑われる運送会社、長時間労働のおそれのあるバス会社、不適切な歩合給制度となっているおそれのあるタクシー会社の3つが紹介されています。どのような監督指導が行われ、その後、会社がどのような取り組みを行ったのかが分かるため、実務の参考になるでしょう。

 2024年4月からは自動車運転の業務についても労働時間の上限規制が開始されます。個々の企業の取り組みだけでは難しい問題もあり、業界全体の改革や荷主の意識変革も重要なポイントとなりますが、まずはできることから改善を進めていきましょう。


参考リンク
厚生労働省「自動車運転者を使用する事業場に対する令和3年の監督指導、送検等の状況を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27066.html

(福間みゆき)