転職により1割以上賃金が上昇した労働者の割合が過去最高の32.7%に

 転職意識の高まりや転職エージェントの増加などにより、かつてなく転職市場が活況ですが、深刻な人手不足の増加もあり、転職により賃金が増加した転職者の割合が高まっています。本日は、リクルートが公表した「2022年 4-6月期 転職時の賃金変動状況」の結果を見てみることにしましょう。

 この調査では、「前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者数の割合」の経年変化が取り上げられていますが、2022年4月~6月期についてはその割合が過去最高の32.7%となっています。
※前職(転職前)の賃金は時間外労働等の「変動する割増賃金」を含む一方、転職後の賃金にはそれらが含まれないため 「前職と比べ賃金が 1 割以上増加した転職決定者数の割合」は実態よりも低めの値となる傾向があります。
【参考:年度推移】
2002年 24.8%
2003年 23.0%
2004年 24.4%
2005年 25.3%
2006年 26.2%
2007年 23.2%
2009年 18.9%
2010年 24.4%
2011年 26.5%
2012年 25.1%
2013年 25.8%
2014年 26.8%
2015年 28.5%
2016年 28.7%
2017年 29.7%
2018年 30.1%
2019年 29.3%
2020年 27.5%
2021年 31.2%

 このように2010年代以降着実に値が上昇していますが、中でもこの1年間での上昇幅は大きく、2021年4~6月期の29.1%から、1年間で3.6ポイント増の32.7%まで上昇しています。なお、職種別で見ると、深刻な人材不足が続くITエンジニアは37.2%、接客・販売・店長・コールセンターは40.5%とかなりの高水準となっています。

 賃上げが大きなテーマとなる中、我が国も転職により賃金を上げていく時代になってきたのかも知れません。企業としても市場相場を意識した賃金政策が重要となっています。


参考リンク
リクルート「2022年 4-6月期 転職時の賃金変動状況(2022/8/3)」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20220803_hr_01.pdf

(大津章敬)