人手不足企業の72.5%で賃上げを実施

 コロナにより一時落ち着いていた人手不足が深刻な状況になってきています。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2022年7月)」によれば、正社員の人手不足割合は 47.7%となっています。これを過去数年間の推移で見てみると以下のようになっています。
2018年 50.9%
2019年 48.5%
2020年 30.4%
2021年 40.7%
2022年 47.7%

 このように正社員の不足状況は、コロナ前の水準にまで戻ってきていることが分かります。なお、この傾向は非正社員でも同様で、不足との回答は2019年の29.8%に迫る28.5%となっています。ちなみに業種で見ると、正社員については「旅館・ホテル」が 66.7%でトップ。非正社員では「飲食店」が73.0%と深刻な状況になっています。

 このように正社員の人手が不足している企業においては、賃上げが進みつつあります。正社員が人手不足と回答した企業において、2022年度に「2%以上の賃上げを実施」した企業は 41.7%となり、全体(36.9%)を4.8ポイント上回っています。また、「2%未満の賃上げを実施」の30.8%を加えると、人手不足企業のうち 72.5%が 2022年度に賃上げを行っています。

 我が国の賃金が低いという指摘が頻繁になされるようになっていますが、最低賃金の引き上げ以上に、人手不足の深刻化によって、その引き上げが進められていくことが予想されます。一方で、職種による人材不足感にもばらつきがありますので、結果的に、賃金の二極化がこれまで以上に進むことになるかも知れません。


参考リンク
帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022年7月)」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220812.html

(大津章敬)