業務で自動車運転をする際の検知器によるアルコールチェック義務化 正式に実施延期が決定

 現実的な対応の難しさから、多くの反対意見や困惑が示されていた業務使用の自動車におけるアルコール検知器使用によるアルコールチェックの義務化ですが、パブリックコメントの受付を経て、2022年9月9日、警察庁丁交企発第218号「安全運転管理者制度に関する留意事項について(通達)」が発出され、その実施の延期が正式に決定しました。

 理由としては、最近のアルコール検知器の供給状況等から、事業所において、十分な数のアルコール検知器を入手することが困難であると認められたことが挙げられており、当分の間、アルコール検知器使用義務化規定を適用しないこととし、当分の間、以下のとおりアルコール検知器使用義務化規定を目視等義務化規定に読み替える規定が設けられました。

 なお、この「当分の間」について、現時点において、十分な数のアルコール検知器が市場に流通するようになる見通しが立っていないため、具体的な時期は示されていませんが、見通しが立った時点で、再度、道路交通法施行規則を改正し、できるだけ早期にアルコール検知器を使用して、アルコールチェックを実施することとしています。

[読み替え前]
六 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認するほか、アルコール検知器(呼気に含まれるアルコールを検知する機器であって、国家公安委員会が定めるものをいう。次号において同じ。)を用いて確認を行うこと。
[読み替え後]
六 運転しようとする運転者及び運転を終了した運転者に対し、酒気帯びの有無について、当該運転者の状態を目視等で確認すること。

 企業の実務担当者のみなさんにとっては、まずは一安心というところではないでしょうか。


参考リンク
警察庁丁交企発第218号「安全運転管理者制度に関する留意事項について(通達)」令和4年9月9日
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzenuntenkanrisya/pdf/20220909tuutatu.pdf?fbclid=IwAR0bPY4tTsbsdUUOsAXgPk1Y6E1ptfUfXrEi9WtDEbt99Qh74cTomUg-JE0
警察庁「安全運転管理者の業務の拡充等」
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/insyu/index-2.html

(大津章敬)