フリーランス新法制定に向けたパブリックコメントの概要
わが国でも、従業員を雇わない、フリーランスの形態で仕事をされる方が増加しており、462万人にもなっています。その一方で、報酬の支払遅延や一方的な仕事内容の変更といったトラブルも増加しており、2022年6月に閣議決定された「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」においても、その取引適正化のための法制度について検討し、早期に国会に提出することが明記されました。
こうした環境の中、先日(2022年9月13日)、内閣官房よりパブリックコメントとして「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」という資料が示されました。
フリーランスの取引を適正化し、個人がフリーランスとして安定的に働くことのできる環境を整備するため、他人を使用する事業者が、フリーランスに業務を委託する際の遵守事項等を定めるという方向性の中で、以下のような内容がまとめられています。
(1)フリーランスに業務委託を行う事業者の遵守事項
(ア)業務委託の開始・終了に関する義務
① 業務委託の際の書面の交付等
② 契約の中途解約・不更新の際の事前予告
(イ)業務委託の募集に関する義務
① 募集の際の的確表示
② 募集に応じた者への条件明示、募集内容と契約内容が異なる場合の説明義務
(ウ)報酬の支払に関する義務
(エ)フリーランスと取引を行う事業者の禁止行為
(オ)就業環境の整備として事業者が取り組むべき事項
① ハラスメント対策
② 出産・育児・介護との両立への配慮
(2)違反した場合の対応等
(3)フリーランスの申告及び国が行う相談対応
フリーランスに対して業務委託を行う際の書面交付義務など、影響が大きな内容が盛り込まれる方向にあるようです。フリーランスは今後も増加を続けることが予想されますので、新法の動向については今後も注視していく必要がありそうです。
参考リンク
e-gov「「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」に関する意見募集について」
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060830508
内閣官房「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/atarashii_sihonsyugi/pdf/ap2022.pdf
(大津章敬)