女活法による「男女の賃金の差異」の情報公表、実務に不可欠なFAQが公開

 2022年7月8日に女性活躍推進法に関する制度改正がされ、情報公表項目に「男女の賃金の差異」を追加するともに、常時雇用する労働者が301人以上の一般事業主に対して、当該項目の公表が義務化されました。今後、この差異を算出し、公表することが求められますが、実務を考えると、多くの不明点があったのではないかと思います。

 そんな中、厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課は2022年9月15日に 「女性活躍推進法に基づく「男女の賃金の差異」の公表等における解釈事項について(法第 20 条・省令第 19 条等関係)」を公表しました。FAQ形式になっていますが、以下のように実務を行う上で必須の情報がまとめられています。

  • 「男女の賃金の差異」の公表区分である「正規雇用労働者」、「非正規雇用労働者」、「全労働者」の定義は何か。
  • 当社では、技能職は諸手当の支給が多いため結果として高賃金であり、技能職には男性の配置が多いため正社員全員で合算すると男女間の賃金差は相当大きくなる。しかし、総合職のみで男女を比較すると、女性の活躍は進んでおり賃金差は大きくない。このたびの男女の賃金の差異の情報公表の目的が、女性の活躍推進にあるという趣旨を踏まえると、今後の管理職登用等企業の将来を担う基幹職としての総合職の男女比を公表することで差し支えないか。
  • 当社は技術職社員に適用する賃金表と事務系社員に適用する賃金表が異なり、技術系社員には女性がいないため、事務系社員における「男女別の賃金の差異」を公表すれば足りると解してよいか。
  • 「出向者」は、賃金算定の対象労働者に含まれるのか。含まれる場合、「正規雇用労働者」として扱うのか。
  • 育児・介護の事情で、短時間勤務、所定外労働・時間外労働・深夜業制限を受けた者は、その分だけ、賃金が少なくなる場合があるが、これらの者は、集計から除外してよいか。
  • 事業年度の途中で入社又は退社した労働者も賃金算定の対象になるのか。
  •  「賃金」から、企業判断で「通勤手当等」を除外してよいとされているが、この「等」に含まれるものとして想定されるものは何か。

 今後、男女の賃金の差異の公表の準備をする際には、確実にチェックしておく必要がある資料となっています。


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2022年7月11日「男女の賃金格差の開示を求める女性活躍推進法制度改正 2022年7月8日に施行されました」
https://roumu.com/archives/112674.html
2022年7月8日「男女の賃金の差異の算出方法等について(解説資料)」
https://roumu.com/archives/112670.html

参考リンク
厚生労働省雇用環境・均等局雇用機会均等課 「女性活躍推進法に基づく「男女の賃金の差異」の公表等における解釈事項について(法第 20 条・省令第 19 条等関係)2022/9/15」
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000989506.pdf

(大津章敬)