70歳までの就業機会確保の内容、継続雇用制度の58.2%に次ぐのが業務委託の25.5%

 来春からは公務員の定年が65歳に向けて段階的に引き上げられるなど、今後、企業の人事管理において高齢者雇用は重要なテーマとなっていきます。高年齢者雇用安定法でも70歳までの就業機会確保を努力義務化していますが、その対応状況はどのなっているのでしょうか。本日はマンパワーグループが企業の人事担当者を務める20代~50代の男女400名を対象に実施した「65歳以上のシニア就業」に関する調査の結果を見ていきたいと思います。

(1)70歳までの就業機会確保の対応状況
42.8% すでに対応している
15.5% まだ対応していないが、対応することが決まっている
18.3% 対応するかどうか検討している
22.0% 対応はしていない
1.5% わからない
(2)70歳までの就業機会確保の対応方針
58.2% 継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
25.5% 継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
24.5% 定年年齢の引き上げ
19.3% 継続的に社会貢献事業などに従事できる制度の導入
13.7% 定年制の廃止
0.7% その他
8.8% あてはまるものはない

 このように4割超の企業が、70歳までの就業機会確保に対応済という結果となりました。日常的に実際の企業からの相談を受けている立場からすると、そこまで進んでいる印象は受けていませんが、徐々に関心が高まっているのは間違いありません。

 またその対応方針については継続雇用制度が中心になるのは当然と思われますが、その次に来るのが業務委託契約での対応というのは面白い結果ではないでしょうか。もちろん対象者全員ではなく、業務委託契約が向く職種についての導入ということだとは思いますが、この新たな選択肢の登場によって、フリーランスとして働くということがさらに一般的になっていくのかも知れません。

 深刻な採用難の中、高齢者の活用は不可欠の対策となっています。その力を引き出すためにも高齢者の雇用および処遇の仕組みの確立が求められます。


参考リンク
マンパワーグループ「65歳以上のシニア就業確保」は約4割がすでに対応済み。一般社員の希望と人事担当者の課題とは?(2022年10月5日)」
https://www.manpowergroup.jp/client/jinji/surveydata/20221005.html

(大津章敬)