人材確保のために活用したい「人手不足対応のための5ステップ」と各種ツール

 労務ドットコムでも、人材不足の状況については再三、情報をお伝えしていますが、労働力人口減少という構造的な課題に加え、国際的に見た低賃金、そして円安の影響で外国人労働者の確保にも暗雲が垂れ込めており、今後、人材確保ができずに事業継続が困難になる事例が急増することが予想されます。

 企業を継続させるためには、この深刻な人手不足の中でも必要な人材を確保していくことが求められます。中小企業庁ではこうした課題に対応するため、以下の「中小企業における人手不足対応のための5つのステップ」をまとめ、それに関連する各種ツールを制作しています。
■ステップ1 経営課題を見つめ直す
 原点に立ち戻り、経営課題を見つめ直す。
【ポイント】
・経営課題や、自社の経営理念、将来ビジョンを見つめ直す
・人手不足の理由(人員補充か拡充か)を考える
■ステップ2 経営課題を解決するための方策を検討する
 経営課題を解決するため、業務を見直したうえで、経営資源の融通や経営課題への対応策を考える。
【ポイント】
・経営資源をどう「やりくり」するか考える。取り組むべき経営課題が複数ある場合には、対応の優先順位付けを行う。
・人手が不足している業務を見つめ直す。業務の細分化、切り出し等を行う。
・解決策は、人材の確保とは限らない。外部化、技術の活用(機械化)を検討することも重要である。
■ステップ3 求人像や人材の調達方法を明確化する
 求人像を明確化し、人材の調達方法(外部調達か、社内での登用・育成か)を検討する。
【ポイント】
・業務内容や求人要件等を明確にするとともに、固定観念を払拭し、求人像の幅を拡げる。
・外部調達だけでなく、内部調達(登用・育成)という方法もある。
■ステップ4 求人・採用/登用・育成
 求人・採用/登用・育成など、人材に関する取組を実施する。
【ポイント】
・働く側の目線に立った魅力発信が必要(勤務条件だけでなく、従業員のライフスタイル、企業の課題など)
・社長や、実際に共感できる従業員が伝えることも重要。ターゲット層に合わせた多様な伝えからを検討するべき。
・社内人材活用においては、人事評価制度の見直しも重要。
■ステップ5 人材の活躍や定着に向けたフォローアップ
 採用した人材や社内人材の活躍や定着に向けて、フォローアップ(能力開発や職場環境の見直し等)を行う
【ポイント】
・働き手の制約や志向を考え、職場環境整備を図ることが重要
・新卒社員だけでなく、中途採用の社員に対しても、入社後に活躍できるようフォローすることが重要
・柔軟な勤務制度やワークライフバランスの取れた勤務を可能にし、社員のモチベーションの向上や離職を防止することが重要

 「人材確保支援ツール」ではこの5ステップを検討するワークシートが提供されていますので、自社の課題のまとめに是非ご活用ください。


参考リンク
中小企業庁「人手不足・人材活用への対応」
https://mirasapo-plus.go.jp/hint/1861/

(大津章敬)