重要性を増す内定者と企業とのコミュニケーション

 2022年10月21日の記事「新卒採用を実施も「全く採用できなかった」企業が19.9%」で紹介したように、深刻な採用難の中、新卒学生の内定率は高止まりしています。

 今月公開された、リクルート「就職みらい研究所」による就職プロセス調査(2023年卒)「2022年10月1日時点 内定状況」によれば、9月や内定式が多く行われる10月に進路を確定する学生の割合が増えている一方で、「この進路で本当にいいのかと考えることが増えた」、「心変わりが起きたら怖い」、「内定先から1回だけ連絡があっただけでそれ以降連絡がないので、心配している」など不安の声も少なくないようです。

 採用難の時代、企業側からの積極的な内定者への働きかけが求められていることがよく分かる調査結果となっていますが、内定者の具体的な働きかけにおける、企業にとってのひとつの重要なテーマとして、配属先の通知等が挙げられます。

 2023年卒業予定の全国の大学生・大学院生を対象に実施された「マイナビ 2023年卒大学生 活動実態調査(8月)」では、8月時点で内々定を持つ大学生・大学院生の実に8割以上が「入社前に配属先を通知してほしい」と回答しています。企業側にとって、配置は経営戦略と直結しており、特に事業環境が目まぐるしいスピードで変化をしていく中で、入社半年前に配属先を確約することがなかなか難しくもありますが、特に中小企業では、もともと採用数が少なく、内定者が無事入社に至ったとしても、その後のミスマッチによる離職は大きな痛手となります。

 先にご紹介したリクルート社調査でも「就職活動は終了したものの、懇親会など就職先の方々と関わる機会があり、質問や交流を通じて仕事への理解を深めたり不安を解消していきたいと思う」との声も上がっています。企業側はこのような企画を通じ、内定者と丁寧にコミュニケーションを重ねる中で、内定者の不安を解消したり、配置をめぐるイメージのギャップを埋めていけるようなリテンション施策を講じることが重要でしょう。


関連記事
2022年10月21日「新卒採用を実施も「全く採用できなかった」企業が19.9%|
https://roumu.com/archives/113624.html

参考リンク
リクルート「就職みらい研究所」就職プロセス調査(2023年卒)「2022年10月1日時点 内定状況」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20221007_hr_01.pdf
マイナビ「2023年卒大学生 活動実態調査(8月)」
https://career-research.mynavi.jp/reserch/20220907_34849/

(菊地利永子)