物価高騰に対応するインフレ手当 26.4%の企業で支給・予定・検討中

 世界的な物価高となっていますが、みなさんも日常生活の中でもその高騰を実感する機会が増えているのではないでしょうか。このような状況を受け、来春の春闘では例年にない水準の賃上げ要求がなされる見込みとなっていますが、それに先行し、インフレ手当を支給する企業が増加しています。そこで本日は帝国データバンクが2022年11月17日に公表したインフレ手当に関するアンケート調査結果について取り上げます。なお、このアンケートの実施期間は2022年11月11日~15日、有効回答企業数は1,248社となっています。
(1)インフレ手当の支給有無
 インフレ手当の支給状況は以下のようになっています。
6.6% 支給した
5.6% 支給予定している
14.1% 支給していないが検討中
63.7% 支給する予定はない
9.9% 分からない

 このように支給・予定・検討中を合わせると26.4%もの企業がインフレ手当への対応を進めていることがわかりました。

(2)インフレ手当の支給方法
 インフレ手当の支給方法については、一時金で支給が66.6%、月額手当で支給36.2%となっています。

(3)インフレ手当の平均支給額
 平均支給額は一時金が53,700円となっており、「1万円~3万円未満」が27.9%でもっとも多く、「3万円~5万円未満」および「5万円~10万円未満」が21.9%となっています。一方、月額手当の平均支給額は6,500円であり、「3千円~5千円未満」と「5千円~1万円未満」が30.3%でもっとも多くなっています。

 その他、今回の調査には含まれていませんがガソリン価格の上昇に関しては、通勤手当の計算にガソリンの実勢価格を反映させている例も少なくないと思われます。

 業績が思わしくない企業も少なくない中、こうした人件費の引き上げを行うことは難しい例も多いのが実態です。社員の生活の安定を通じた人材定着促進という視点も踏まえ、自社としての対応を真剣に議論すべき時期になっています。


参考リンク
帝国データバンク「インフレ手当に関する企業の実態アンケート」
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p221106.html

(大津章敬)