27.9%の企業で実施済となった70歳までの就業確保措置

 深刻な人手不足の中、高齢者雇用の重要性が増していますが、先日、厚生労働省から「令和4年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果が公表されました。そのポイントは以下のようになっています。
(1)高年齢者雇用確保措置の実施状況

  • 65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業は235,620社(99.9%)[0.2ポイント増加]
  • ・企業規模別には中小企業では99.9%[0.2ポイント増加]、大企業では99.9%[変動なし]
  • 高年齢者雇用確保措置を「継続雇用制度の導入」により実施している企業は、全企業において70.6%[1.3ポイント減少]

(2)65歳定年企業の状況

  • 65歳定年企業は52,418社(22.2%)[1.1ポイント増加]
  • 中小企業では22.8%[1.1ポイント増加]
  • 大企業では15.3%[1.6ポイント増加]

(3)70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況

  • 70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済みの企業は65,782社(27.9%)[2.3ポイント増加]
  • 中小企業では28.5%[2.3ポイント増加]
  • 大企業では20.4%[2.6ポイント増加]

(4)66歳以上まで働ける制度のある企業の状況

  • 66歳以上まで働ける制度のある企業は95,994社(40.7%)[2.4ポイント増加]
  • 中小企業では41.0%[2.3ポイント増加]
  • 大企業では37.1%[3.0ポイント増加]

(5)70歳以上まで働ける制度のある企業の状況

  • 70歳以上まで働ける制度のある企業は92,118社(39.1%)[2.5ポイント増加]
  • 中小企業では39.4%[2.4ポイント増加]
  • 大企業では35.1%[3.0ポイント増加]

(6)定年制廃止企業等の状況

  • 定年制の廃止企業は9,248社(3.9%)[0.1ポイント減少]
  • 中小企業では4.2%[変動なし]
  • 大企業では0.6%[変動なし]

 このように徐々に高齢者雇用の対応が進められていることが分かりますが、中でも注目したいのが、令和3年4月1日の法改正で努力義務化された70歳までの高年齢者就業確保措置の状況です。上記(3)にあるように65,782社(27.9%)の企業で実施済となっていますが、ここではその就業確保措置の措置内容は以下のようになっています。

  1. 定年制の廃止 9,248社(3.9%)[0.1ポイント減少]
  2. 定年の引上げ 4,995社(2.1%)[0.2ポイント増加]
  3. 継続雇用制度の導入 51,426社(21.8%)[2.1ポイント増加]
  4. 創業支援等措置の導入 113社(0.1%)[変動なし]

 このように継続雇用制度の導入を行うことで就業確保措置を講じている企業が多くなっており、注目の創業支援等措置はまだほとんど採用されていないことがわかります。来春からは公務員の定年引上げが始まり、高齢者雇用に対する関心の高まりが予想されます。高齢者雇用は安定的な人材確保の視点からも真剣に考えていきたいテーマとなっています。


参考リンク
厚生労働省「令和4年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_29133.html

(大津章敬)