2023年春の賃上げ、前年を上回るという回答が34.1%
物価高への対応で今春の賃上げをどのようにしようかと頭を悩ませている経営者・人事担当者の方は多いと思います。そこで今回は産労総合研究所の「2023年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」の結果を取り上げます。なお、この調査は、全国上場企業と過去に同調査に回答のあった同社会員企業から任意に抽出した3,000社を対象として2022年12月に実施されたもので、今回の集計社数は233社となっています。
(1)自社の賃上げ率
2022年と比較した2023年の賃上げについての回答を見ると以下のようになっています。
※()内は前年度の数値。
2022年を上回る 34.1%(19.0%)
2022年と同程度 53.1%(70.8%)
2022年を下回る 8.9%(6.6%)
今春は物価高に対応し、賃上げを志向する企業が増加しており、前年比19.0ポイントのプラスとなっていますが、この「2022年を上回る」の回答を企業規模別で見ると以下のように大きな差があり、中小企業では十分な昇給原資が確保できていない状況にあることが分かります。
1,000人以上 48.6%
300~999人 36.2%
299人以下 26.2%
(2)物価上昇分への対応
物価上昇を2023年の賃金改定で考慮するかどうかについてはの回答は以下のようになっています。なお、この点については企業規模や業種の違いに大きな差は見られませんでした。。
考慮する 38.6%
考慮しない 16.7%
わからない 44.2%
(3)ベースアップの実施意向
定期昇給制度のある企業を対象としたベースアップ等の実施意向を聞いた設問における「定期昇給もベースアップも実施する予定」という回答は26.4%で、前年の13.0%からは倍増しています。なお、企業規模別ではやはり中小企業での実施意向は低くなっています。
1,000人以上 37.2%
300~999人 24.3%
299人以下 22.6%
物価が上昇しており従業員の生活が圧迫されていますが、企業も電気代などのコストが増加しており、決して楽な状況ではありません。十分な議論と従業員への状況の開示が求められます。
参考リンク
産労総合研究所「2023年 春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」
https://www.e-sanro.net/research/research_jinji/chinginseido/shunkiroshi/pr2302.html
(大津章敬)