大学生が希望する賃金制度等のポイントは「安定性」「公平性」
少子化による学生数の減少の半面、企業の採用意向が高まっていることから、採用の難化が進んでいます。それだけに大学生が指示する「働きたい組織の特徴」を理解しておくことは重要です。そこで今回はリクルートの「大学生・大学院生の「働きたい組織の特徴」2023年卒」の結果を取り上げたいと思います。この調査は、就職活動を行っている2023年3月卒業予定の大学4年生・大学院2年生を対象に実施されたもので、「経営スタイル」「貢献と報酬の関係」「成長スタイル」「ワークスタイル」「コミュニケーションスタイル」という5つの観点で調査が行われています。
今回はこの中から、「貢献と報酬の関係」の項目についてみていきたいと思います。以下は各調査項目で回答率が高いものを列挙します。
74.2% 入社直後の給与は低いが、長く働き続けることで後々高い給与をもらえるようになる
70.6% 個人の生活をサポートする制度(休暇制度や各種手当など)を充実させる代わりに、給与は低い
65.4% 評価の良し悪しによって給与があまり変化せず、安定的な収入が得られる
60.7% 個人の属性に関わらず、公平・公正に処遇される
59.2% 自分のキャリアステップは自分で考え、実現に取り組むことが求められる
55.9% 給与は低いが、個人間で待遇に大きく差がついたり、降格になったりする可能性は小さい
これらを見ると、いわゆる成果主義的な人事制度よりも、安定性や公平性を重視する傾向が強いことが分かります。一方では、若手社員の調査を見ると転職によって賃金を上げていくことへの意識の強さも見られるところであり、大学生については社会に出ることへの不安が大きく、このような傾向が見られるものの、実際に仕事を行う中で意識が変化し、処遇の低さへの不満が大きくなってくるのかも知れません。全体最適を進めながらも、学生の不安を軽減するような情報開示・説明がポイントとなるのでしょう。
参考リンク
リクルート「大学生・大学院生の「働きたい組織の特徴」2023年卒」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20230209_hr_01.pdf
(大津章敬)