物価上昇への対応方法は「手当」が約6割、ベアは36%に止まる

 物価の高騰を受け、インフレ手当の支給やベースアップの実施などを検討している企業が多くありますが、今回はその参考になる資料として、東京商工リサーチの「物価高に伴う上場企業「賃上げ・手当支給」調査」の結果を紹介します。

 この調査は、物価高が顕在化した2022年7月以降、一時金等の支給や賃金引き上げを公表した上場企業を集計したもの。上場68社のうち、「手当(一時金)」の支給は41社で、そのうち支給金額が判明した25社の平均額は67,120円(中央値5万円)となっています。また、10万円以上を支給する企業も8社あり、最高はサイボウズの15万円だったようです。

 一方、支給形態は、以下のようになっています。今後の物価上昇や企業業績について不透明な状況ということもあり、まずは手当で対応という傾向が強いようです。
手当(一時金・臨時賞与などを含む)60.29%
ベースアップ 36.76%
手当+ベースアップ 2.94%

 大手企業ではこのように対応が進んでいますが、電気料金や原材料費などのコスト上昇で業績が厳しい傾向が強い中小企業ではなかなか対応が難しいというのが本音ではないでしょうか。上昇する初任給水準への対応も含め、中小企業には厳しい時代となっています。


参考リンク
東京商工リサーチ「物価高に伴う上場企業「賃上げ・手当支給」調査(2023/2/10」
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20230210_01.html

(大津章敬)