求められる大学教員等の無期転換ルールの適切な運用と文科省からの通知
2013年4月より無期転換ルールが導入されていますが、研究開発能力の強化及び教育研究の活性化等の観点から大学等及び研究開発法人の研究者、教員等については、無期転換申込権発生までの期間(原則)5年を10年とする特例が設けられています。そのため、今月の31日時点で、通算期間が10年となる10年特例の対象者が発生することになります。
そのため、文部科学省では、2023年2月7日に各国公立大学法人の長などに「貴法人における無期転換ルールの適切な運用について(依頼)」という通知を出し、無期転換ルールの適用を意図的に避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇止めや契約期間中の解雇等を行うことは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではないことに留意し、労働者から無期転換申込があった場合の対応の準備を含め、改めて、10年特例の適切な運用に向けた対応を求めています。
また、有期労働契約に関しては、契約期間が満了する場合においても、以下の点に留意し、労働関係法令に則った対応が求められることも合わせて通知しています。。
・雇止め法理(労働契約法第19条)に基づき、期間の定めのない契約と実質的に変わらない状態に至っている契約である場合や、反復更新の実態、契約締結時の経緯等から雇用継続への合理的期待が認められる場合は、雇止めが認められないことがあること
・「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」に基づき、3回以上契約が更新されている場合や1年を超えて継続勤務している人については、契約を更新しない場合、使用者は30日前までに予告しなければならないこと
その上で、仮に契約期間の満了に伴い雇用関係を終了する場合であっても、必要に応じ、説明・相談に努め、雇用契約を終了する場合、今後のキャリアについて面談を実施したり、適性適職診断を実施したりするなどのキャリアサポートに係る取組など、必要な対応をすることも求めています。
今回は大学教員等に対する求めですが、一般企業でも無期転換ルールに対し、適切な対応をしていきましょう。
参考リンク
文部科学省「大学及び研究開発法人等における無期転換ルールの適切な運用について(依頼)」
https://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/mext_00067.html
厚生労働省「無期転換ルールについて」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21917.html
(福間みゆき)