規律性の重要性について大きなズレがある新入社員と会社の認識
東京商工会議所は毎年、同所実施の新入社員研修の受講者を対象とした意識調査を実施していますが、その2023年度版が公表されました。そのポイントは以下のようになっています。
(1)就職先の会社でいつまで働きたいか
- 「定年まで」が24.4%となり、2013年度調査(39.1%)と比べて14.7ポイント減少。
- 「チャンスがあれば転職」は20.0%となり、10年前の2013年度調査(11.5%)と比べて8.5ポイント増加。
(2)社会人生活で不安に感じること
- 「仕事と私生活とのバランスが取れるか」「上司・先輩・同僚とうまくやっていけるか」「仕事が自分に合っているか」「自分の能力や知識が仕事で通用するか」が上位。
今回、特に気になったのが「仕事をする上で特に大事にしたいこと」の項目です。ここでは、経済産業省が提唱している「社会人基礎力」を構成する能力要素(3つの能力、12の能力要素)のうち、仕事をする上で特に大事にしたいことを尋ねたところ、 主体性(59.1%) 、実行力(39.3%)、計画力(27.5%)などが上位に来ています。この調査では、企業を対象に「新入社員が仕事をする上で特に大事にして欲しいこと」を尋ねた結果と今回の結果を比較していますが、規律性(社会のルールや人との約束を守る力)では、以下のように大きな差が出ています。
新入社員 6.4%
企業 33.7%
新入社員の回答の中で「規律性」を大事にしたいという回答はもっとも低い6.4%となっていますが、企業調査では、主体性(72.0%)、実行力(36.8%)に続く第3位。この認識のギャップを早めに埋めておかなければ、社内での様々なトラブルの原因になる危険性があります。新入社員のフォローアップ研修などでも取り上げるのと同時に、新入社員が配属された部門の上長等にも重点的に指導することを指示しておくとよいでしょう。
参考リンク
東京商工会議所「2023年度 新入社員意識調査の集計結果について(2023/4/25)」
https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1034044
(大津章敬)