2023年4月より雇用保険の特定理由離職者の範囲が拡大されました

 会社を退職した雇用保険の被保険者のうち、一定の条件を満たした人は、雇用保険から基本手当を中心とした求職者給付が支給されます。この求職者給付を受給する際には、その退職者の離職理由によって支給開始までの期間や支給される金額が変わることがあります。今回、2023年4月1日以降に退職した人について、特定理由離職者の範囲に追加された項目があることからその内容を確認します。

 追加された項目は、配偶者から身体に対する暴力またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受け、加害配偶者との同居を避けるため住所又は居所を移転したことにより離職した人です。
 配偶者には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含みます。

 対象となるには、裁判所が発行する配偶者暴力防止法第10条に基づく保護命令に係る書類の写しまたは婦人相談所等が発行する配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書の発行が確認できることが必要です。
 また、住所または居所を移転したことの確認は、住民票(住民票記載事項証明書)や運転免許証、マイナンバーカード、その他(転居前、転居後の住所と転居した日がわかる書類)の書類の提出することになります。

 参考リンクにある東京労働局のホームページには、ハローワークに提出する「配偶者からの暴力の被害者の保護に関する証明書」も掲載されています。対象になるような状況が発生しないことが一番望まれることですが、万が一の事態に備えて確認しておくとよいでしょう。


参考リンク
東京労働局「配偶者から暴力を受け、加害配偶者との同居を避けるため転居したことにより離職された方の取扱いについてお知らせします。」
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/newpage_00999.html
(宮武貴美)