厚労省から示された第4次男女雇用機会均等対策基本方針案
厚生労働省から、令和5年5月26日に開催された「第58回 労働政策審議会雇用環境・均等分科会」の資料が公表されました。この中から、第4次男女雇用機会均等対策基本方針案をとり上げます。この基本方針案では、(1)就業を継続し、その能力を伸長・発揮できるための環境整備、(2)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けた取組、(3)多様な働き方に対する支援の3つのテーマの方針が定められています。以下ではその主なものを見てみましょう。
(1)就業を継続し、その能力を伸長・発揮できるための環境整備
・公正な処遇の確保
均等法等に沿った雇用管理が行われるよう、あらゆる雇用管理の段階における性別を理由とする差別の禁止のほか、間接差別の禁止、妊娠、出産等を理由とする不利益取扱いの禁止等の違反に対し厳正かつ的確な行政指導を行う。
・ハラスメント防止対策の推進
均等法で求められている措置を講じていない事業主に対して、企業名の公表を行うことも含め、行政指導により確実な措置の実施を求める。企業規模が小さいほどセクシュアルハラスメントの防止対策に取り組む企業割合が低くなっていることから、特に中小企業に対しきめ細かい情報提供を行う。
(2)仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の実現に向けた取組
・ 仕事と育児の両立を図るための制度の着実な実施
男女ともに、育児休業や短時間勤務などの仕事と育児の両立支援制度を安心して利用できる職場環境の整備が重要であることから、これらの普及・定着を図る。2023年4月より全面施行された改正育児・介護休業法について、周知・指導を行い、改正内容の確実な履行確保を図る。
・長時間労働の是正
中小企業等では、発注者からの著しく短い期限の設定や発注内容の頻繁な変更に応えようとして長時間労働になる傾向にあることを踏まえ、労働時間等の設定の改善に関する特別措置法(平成4年法律第90号)に基づき、著しく短い期限の設定及び発注内容の頻繁な変更を行わないよう配慮し、事業者の取引上必要な配慮が商慣行に浸透するよう、関係省庁が連携して必要な取組を推進する。
(3)多様な働き方に対する支援
・パートタイム・有期雇用労働対策
短時間・有期雇用労働者対策基本方針(令和2年厚生労働省告示第122号)に基づき、パートタイム・有期雇用労働法の周知や、個別相談等による企業への支援、また、職務分析・職務評価の導入促進等を行う。有期雇用労働者について、労働契約法(平成19年法律第 128 号)に基づく「無期転換ルール」の適切な活用に向けて引き続き周知に取り組む。その際、短時間正社員制度を始めとした「多様な正社員」制度を一層普及・定着させるため、好事例の収集や周知等を行う。
・テレワークの推進
妊娠期・育児期・介護期の労働者にとって、仕事と出産・育児・介護を両立するための1つの選択肢となりうるため、雇用型テレワークについて、事業主が適切な労務管理を行い、労働者が安心してテレワークを行うことができるよう「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン」の周知・啓発を行う。
女性活躍、仕事と育児の両立支援などは少子化による人口減が進む我が国におけるこれからの最重要政策となっていきます。今回の基本方針については正式決定後、その影響と対策について更に具体的にお伝えしていきたいと思います。
参考リンク
厚生労働省「第58回労働政策審議会雇用環境・均等分科会」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33365.html
(福間みゆき)