遂に公表された注目の「こども未来戦略方針」案~大変革の必要性と政策の方向性
2023年6月1日に開催されたこども未来戦略会議の中で、注目の「こども未来戦略方針」案が示されました。
この方針は今後の人事労務管理にも大きな影響を与えることから、正式に策定された時点で再度詳細を取り上げたいと思いますので、本日はその構成のみをお伝えします。第1章から政府のこの問題に対する危機感の大きさを感じる内容となっています。
Ⅰ.こども・子育て政策の基本的考え方
Ⅱ.こども・子育て政策の強化:3つの基本理念
1.こども・子育て政策の課題
(1)若い世代が結婚・子育ての将来展望が描けない
(2)子育てしづらい社会環境や子育てと両立しにくい職場環境がある
(3)子育ての経済的・精神的負担感や子育て世帯の不公平感が存在する
2.3つの基本理念
(1)若い世代の所得を増やす
(2)社会全体の構造・意識を変える
(3)全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する
Ⅲ.「加速化プラン」~今後3年間の集中的な取組~
Ⅲ-1.「加速化プラン」において実施する具体的な施策
1.ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組
(1)児童手当の拡充
~全てのこどもの育ちを支える制度へ
(2)出産等の経済的負担の軽減
~妊娠期からの切れ目ない支援、出産費用の見える化と保険適用
(3)医療費等の負担軽減
(4)高等教育費の負担軽減
~奨学金制度の充実と「授業料後払い制度(いわゆる日本版HECS)(仮称)」の創設~
(5)個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援
(6)いわゆる「年収の壁(106万円/130万円)」への対応
~短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げ
(7)子育て世帯に対する住宅支援の強化
2.全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充
(1)妊娠期からの切れ目ない支援の拡充
~伴走型支援と産前・産後ケアの拡充
(2)幼児教育・保育の質の向上
~75年ぶりの配置基準改善と更なる処遇改善
(3)全ての子育て家庭を対象とした保育の拡充
~「こども誰でも通園制度(仮称)」の創設
(4)新・放課後子ども総合プランの着実な実施
~「小1の壁」打破に向けた量・質の拡充
(5)多様な支援ニーズへの対応
~社会的養護、障害児、医療的ケア児等の支援基盤の充実とひとり親家庭の自立支援
3.共働き・共育ての推進
(1)男性育休の取得促進
~「男性育休は当たり前」になる社会へ
(2)育児期を通じた柔軟な働き方の推進
~利用しやすい柔軟な制度へ
(3)多様な働き方と子育ての両立支援
~多様な選択肢の確保
4.こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革
Ⅲ-2.「加速化プラン」を支える安定的な財源の確保
Ⅲ-3.こども・子育て予算倍増に向けた大枠
Ⅳ.こども・子育て政策が目指す将来像とPDCAの推進
~こどもと向き合う喜びを最大限に感じるための4原則~
1.こどもを生み、育てることを経済的理由であきらめない
2.身近な場所でサポートを受けながらこどもを育てられる
3.どのような状況でもこどもが健やかに育つという安心感を持てる
4.こどもを育てながら人生の幅を狭めず、夢を追いかけられる
全体として非常に手厚い内容となっており、確かに多くの財源が必要な取り組みとなっています。しかし、人口減少による国力の低下をここで止める必要性が大きいのは明らか。こうした資料を多くの国民が目にすることで、社会的な議論が促進されることを期待します。
■「こども未来戦略方針」案はこちら
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/siryou1.pdf
参考リンク
内閣官房「こども未来戦略会議(第5回)議事次第」
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/gijisidai.html
(大津章敬)