経団連企業における男性育休取得率は47.5%(+18.2ポイント)

 今月公表の骨太の方針2023でも「仕事と家庭の両立に向けた男性の育児休業取得の促進」が重要テーマとして掲げられる予定となっていますが、近年、男性育休の取得率の上昇が続いています。厚生労働省の「令和3年度雇用均等基本調査」によれば、男性の育児休業取得率は13.97%となっていますが、対策が進む大企業の状況はより進んでいるようです。そこで今回は、経団連の「「男性の家事・育児」に関するアンケ―ト調査結果」を見ていきましょう。なお、この調査の対象は経団連企業会員1,518社で回答数は278社となっています。
(1)男性の育児休業取得率
 2022年の男性の育児休業取得率は47.5%となり、前年(29.3%)から大きく上昇しました。これは産後パパ育休制度など男性育休取得促進に向けた法改正に加え、2023年4月から、従業員が1,000人を超える企業は男性労働者の育児休業取得率等の公表が求められることになったことの影響であると考えられます。なお、女性の育児休業取得率は、過去5年間、90%以上で推移しており、2020年以降は95%超となっています。
(2)男性育休の取得期間
 男性育休の課題として、その取得期間があげられますが。社会保険料の節減を目的に月末に数日育児休業を取得するといった問題も見られますが、今回の調査での平均は43.7日と1か月を超える結果となりました。その具体的内容は以下のとおりです。
9.3% 5日未満
12.8% 5日以上2週間未満
18.0% 2週間以上1カ月未満
49.4% 1カ月以上3カ月未満
10.5% 3カ月以上6カ月未満
 なお、5日以下の割合は従業員規模が小さくなるほど多くなり、5,001人以上で1.9%であるのに対し、301~500人では21.4%、300人以下では46.2%となっています。

 今回の結果は、男性育休取得の環境が比較的整った大企業の内容となりますが、見方を変えれば、環境整備を行えば取得率が向上することの証明にもなっていると言うことができます。従業員の育休取得以降も高まっており、今後、男性育休の取得率は継続的に上昇することになるでしょう。


参考リンク
経団連「「男性の家事・育児」に関するアンケ―ト調査結果(2023/6/5)」
https://www.keidanren.or.jp/policy/2023/040.pdf
厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/71-r03.html
厚生労働省「2023年4月から、従業員が1,000人を超える企業は男性労働者の育児休業取得率等の公表が必要です」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/001029776.pdf

(大津章敬)