テレワーク実施層の方がワークライフバランスが取れている認識高い傾向に

 新型コロナウイルスの5類移行等に伴い、テレワークを減らし、オフィス出社を求める企業が増えてきています。テレワークの実施状況については、様々な機関が調査を行っていますが、そのような調査の結果を見ても、実施率は徐々に低下し続けているのは明らかです。

 一方で、在宅勤務・テレワークは、従業員にとってはメリットも多く、特に育児・介護など、生活と仕事の両立においては有効な手段になると考えられています。

 今回は、連合総研「第45回勤労者短観報告書(2023年5月)」にて公開された「在宅勤務・テレワークの実態」に関する調査結果から、実際の従業員のテレワークに対する意識について見ていきます。

管理職、専門・技術職、6歳未満の末子がいる人で在宅勤務・テレワークの実施割合が高い。

  • 職種別に在宅勤務・テレワークの週当たり実施日数をみると、管理職、専門・技術職において、実施日数と割合が高い。子どもの有無・末子年齢別にみると、6歳未満の末子がいる人の実施割合が高い。

在宅勤務・テレワークを実施した層の方がワークライフバランスが取れている認識が高い

  • ワークライフバランスが取れている認識について、就業形態、性別に関わらず「テレワークを実施した」層の方が「テレワークを実施していない」層よりも高くなっている。

女性非正社員では在宅勤務・テレワークを実施した層で仕事の満足度が低い

  • 勤め先での仕事満足度について、在宅勤務・テレワーク実施状況で比べると、正社員では男女ともに、在宅勤務・テレワークを実施した層のほうが<満足>とする割合が高い。
  • 男性非正社員でも在宅勤務・テレワークを実施した層のほうが<満足>とする割合が高い一方で、女性非正社員では、在宅勤務・テレワークを実施した層での<満足>の割合が低い。

 これらの結果を見る限り、テレワーク・在宅勤務は、仕事の内容や、個人の能力、出産・育児・介護などのライフイベントを迎えているなどの状況によって、特定の層に対し、ニーズの高い働き方であることがわかります。ニーズに応じた柔軟な働き方を選択した従業員の満足度が高まっていることを考えると、こうした特定の層において優秀な人材を確保したい企業側にとっては、テレワークを導入する効果が期待されると言えるでしょう。

 今後、自社のテレワークの取扱いの見直しや検討を行う際には、押さえておきたいポイントになってくるのではないでしょうか。


参考リンク
連合総研「第45回勤労者短観報告書」
https://www.rengo-soken.or.jp/work/2023/06/081325.html

(菊地利永子)