2023年春闘 連合最終集計での賃上げ平均は10,560円(3.58%)

 ウクライナ紛争や円安による物価高が進む中、賃上げの春となった2023年の春闘ですが、連合の最終集計が公表されました。本日はその内容を取り上げましょう。
 
 今回の結果について連合がどのように見ているのかを知るためにも、プレスリリースの概要をそのまま転載します。

  • 月例賃金改善(定昇維持含む)を要求した 5,613 組合中 5,463 組合が妥結済み(97.3%)。うち賃金改善分獲得が明らかな組合は 2,909 組合・53.2%で、比較可能な 2013 闘争以降では組合数・割合とも最も高い。
  • 平均賃金方式で回答を引き出した 5,272 組合の「定昇相当込み賃上げ計」は加重平均で 10,560 円・3.58%(昨年同時期比 4,556 円増・1.51ポイント増)、うち 300 人未満の中小組合 3,823 組合は 8,021 円・3.23%(同 3,178 円増・1.27ポイント増)となった。6 月末時点の結果としてはいずれも、比較可能な 2013闘争以降で最も高く、労使が中期的視点を持って粘り強く交渉した結果であり、「未来につながる転換点」となり得るものと受け止める。
  • 賃上げ分が明確に分かる 3,186 組合の「賃上げ分」は 5,983 円・2.12%、うち中小組合 2,019 組合は 4,982 円・1.96%となり、いずれも賃上げ分の集計を開始した 2015闘争以降で最も高い。
  • 有期・短時間・契約等労働者の賃上げ額は、加重平均で、時給 52.78 円(同29.35 円増)・月給 6,828 円(同 2,831 円増)である。引上げ率は概算でそれぞれ 5.01%・3.18%となり、時給は一般組合員(平均賃金方式)を上回っている。
  • 企業内最低賃金協定改定の取り組み組合数は昨年同時期並みだが、回答額は着実に上昇している。
  • すべての労働者の立場にたった「働き方」の改善やジェンダー平等・多様性の推進に向けても数多くの取り組みがなされている。

 このように今春の賃上げ平均は昨年同時期比で4,556 円増・1.51ポイント増となる10,560 円・3.58%という結果となりました。なお、この金額は企業規模が小さくなると減少し、以下のようにはなりますが、例年にない大きな昇給となりました。
 99人以下企業 6,867円(2.94%)
  ※前年度実績 4,387円(1.96%)
 100~299人企業 8,451円(3.32%)
  ※昨年度実績 5,010円(1.98%)

 人材採用難を背景に初任給の引き上げや賃上げを計画している企業はまだまだ多くなっていますし、秋には過去最大の最低賃金の引き上げも見込まれる中、来春も今年度同様、大きな賃上げが行われることになるでしょう。この賃上げに対応できるだけの収益性を確保することは、企業の生き残りの絶対条件となっています。


参考リンク
連合「2023 春季生活闘争 第 7 回(最終)回答集計結果(2023/7/5)」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2023/yokyu_kaito/kaito/press_no7.pdf?1853

(大津章敬)