全国で823人に止まる高プロの適用人数

 働き方改革の中で創設された高度プロフェッショナル制度(2019年4月1日施行)は、金融商品の開発の業務などの職種について、一定の要件を満たす場合には労働時間に関する各種規定を適用除外とする仕組みです。

 専門性が高い高度人材について柔軟な働き方を認めるという趣旨で創設された制度ですが、最新(令和5年3月末時点)の対象労働者数が以下の通り、公表されました。

  1. 金融商品の開発の業務 適用なし
  2. ファンドマネージャー、トレーダー、ディーラーの業務 5事業場/69人
  3. 証券アナリストの業務 3事業場/27人
  4. コンサルタントの業務 18事業場/724人
  5. 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務 3事業場/3人

 このようにすべてを合計しても26事業場(24社)/823人しか制度が適用されていません。

 何と言っても、対象職種が限定されている上に、適用労働者の要件とされている「使用者から⽀払われると⾒込まれる賃⾦額が基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る⽔準として厚⽣労働省令で定める額(1,075万円)以上であること」の基準が厳しすぎるということに尽きるのでしょう。もっとも近年は管理監督者でなくとも、高額の報酬を得る社員も増えていますし、イノベーションが必要な業務が増加するのは確実な状況ので、今後、徐々に適用者が増えてくるのかも知れません。


参考リンク
厚生労働省「高度プロフェッショナル制度に関する報告の状況(令和5年3月末時点)」
https://www.mhlw.go.jp/content/001118624.pdf
厚生労働省「高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/000497408.pdf

(大津章敬)