初任給引き上げや働き方改革を前面に出した令和5年人事院勧告
今年は深刻な人手不足などを背景に企業の人事労務管理が大きく変化する1年となっています。こうした動きを踏まえ、人事院では令和5年度人事院勧告をまとめました。以下ではそのポイントを取り上げましょう。
■給与に関する勧告・報告~過去5年の平均と比べ、約10倍のベースアップ
ポイント:
初任給を引上げ(高卒:約8%[12,000円]大卒:約6%[11,000円] )、ボーナスを0.10月分引上げ、在宅勤務等手当を新設手当新設
【官民較差】3,869円[0.96%]→いわゆる「ベア」に相当。モデル試算した定期昇給分を加えると、月収で約2.7%、年収で約3.3%の給与改善
(1)月例給
初任給を始め若年層に重点を置いて俸給表を引上げ改定
【平均改定率】1級[係員]5.2%、2級[主任等]2.8%等
【勧告後の本府省大卒初任給】総合職249,640円、一般職242,640円
(2)ボーナス
年間4.40月分→4.50月分
※期末手当及び勤勉手当の支給月数をともに0.05月分引上げ
(3)手当新設
テレワーク中心の働き方をする職員について、光熱・水道費等の負担軽減のため、在宅勤務等手当を新設[月額:3,000円]
■勤務時間に関する勧告
ポイント:
フレックスタイム制を活用した「勤務時間を割り振らない日」の対象職員の拡大
(1)フレックスタイム制の活用により、勤務時間の総量を維持した上で、週1日を限度に勤務時間を割り振らない日(ゼロ割振り日)を設定可能に
(2)現在、育児介護等職員に認められている措置を、一般の職員に拡大するもの
これら以外にも現在の環境に適応するための様々な対応が述べられています。最近、「働き方改革」という言葉を聞く機会は減っていますが、むしろいま本当の働き方改革が進展しているという印象を受けます。
参考リンク
人事院「令和5年 人事院勧告 勧告日:2023年8月7日」
https://www.jinji.go.jp/kyuuyo/index.html
(大津章敬)