従業員エンゲージメント向上の取り組みの上位は賃上げ、多様な働き方、企業理念策定

 人材採用難が深刻化する中、既存の人材のエンゲージメント向上は重要な課題となっています。そこで今回は、商工中金の「中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査」の結果を見ていきましょう。なお、この調査の対象は、商工中金の取引先中小・中堅企業で、企業数有効回答数は2,513社となっています。

 これによれば、エンゲージメント向上に向けた各種取り組みの中で、取り組み済の割合は以下の通りとなっています。
64.4% 賃金の引き上げ
47.3% ワークライフバランスや多様な働き方の推進
46.7% 企業理念の策定・浸透のための活動
45.2% 福利厚生の充実
41.9% 風通しの改善・コミュニケーション活性化
37.1% キャリア開発支援・研修の充実
34.8% 人事評価制度の見直し
28.3% 「働きやすい職場」に関する認証の取得

 トップは「賃金の引き上げ」となっていますが、これは物価や初任給の上昇という外的環境の変化への対応が主であったと思われます。それに続く、ワークライフバランス、多様な働き方、企業理念、福利厚生、組織風土といったキーワードが、エンゲージメントのために取得して行われた項目となるのでしょう。
 
 一方、人事評価制度の見直しは、若干取り組み率は低いのですが、「必要性を感じる」という回答が最多になっており、今後、多くの企業で人事評価制度見直しが進められることになると予想されます。


参考リンク
商工中金「中小企業の従業員エンゲージメントに関する調査(2023年8月商工中金景況調査 トピックス調査分)2023/10/31」
https://www.shokochukin.co.jp/report/data/assets/pdf/231031_topics.pdf

(大津章敬)