「心の病」の発生と関連性が高いと考えられる職場の状況

 メンタルヘルス不調者の問題はいまや多くの企業に共通するテーマとなっていますが、本日は日本生産性本部が公表した「第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果」のポイントを見ていきたいと思います。なお、この調査は、新興市場を除く上場企業の人事担当者を対象に実施されたもので、有効回答数は169社となっています。
 
 これによれば、「心の病」の増減傾向は、前回の2021年調査と比較して以下のように「増加傾向」が倍増しています。
 増加傾向 45.0%(前回22.9%)
 横ばい  45.0%(前回59.7%)
 減少傾向 5.9%(前回11.1%)
 わからない 4.1%(前回6.3%)

 ここまで増加傾向が多くなっているのは、コロナ禍における働き方や職場環境の変化が大きく影響していると思われますが、今回の調査では、組織の状態や取り組みと「心の病」の関係性についても調査されており、以下のように非常に興味深い結果が出ています。以下の数値は心の病が「増加傾向」にあると回答した割合となっています。
(1)従業員が組織・職場とのつながりを感じにくくなっている
 そう思う 54.1% そう思わない 35.8%
(2)会社の理念や経営方針は従業員に浸透している
 そう思う 40.6% そう思わない 52.5%
(3)仕事の全体像や意味を考える余裕が職場になくなっている
 そう思う 49.0% そう思わない 38.7%
(4)規範(モラル)に対する意識が弱まっている
 そう思う 60.9% そう思わない 39.2%

 このように組織の状態と「心の病」の発生には一定の関係性があると考えられます。中でも職場との繋がり、そして規範に対する意識は、この問題の改善において大きなヒントになるのではないでしょうか。


参考リンク
公益財団法人 日本生産性本部「第11回「メンタルヘルスの取り組み」に関する企業アンケート調査結果(2023/11/9)」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/006654.html

(大津章敬)