介護休業は家族を介護するための休業ですよね?

大熊社労士
 こんにちは、大熊です。ずいぶんご無沙汰しました。
服部社長服部社長
 大熊さん、ご来社ありがとうございます。
福島さん
 実は、宮田部長が先日から休んでいまして、今後のことが不安になっていると社長にお伝えしたところ、大熊先生に相談しようという話になりました。
大熊社労士
 え!宮田部長、どうかされたのですか?
服部社長
 実は、父親が倒れたとのことで先週から休んでいます。もしかすると、介護が必要な状態になるかもしれないと言ってます。そのような状況ですので、しっかりと休みを取って、父親のそばにいて欲しいと思っています。
大熊社労士
 ありがとうございます。宮田部長がお休みされていることで滞っていることはありますか。
福島照美福島さん
 日常的な業務は私のほうで担当しているので、大きな問題はありません。ただ、従業員からくる質問について、本当に私の判断であっているのかというような不安があります。
服部社長
 福島さんに負担をかけて申し訳ないね。何かあれば私が責任をもって判断するからね。
大熊社労士
 何かあれば、私も頼ってくださいね。気になるのが宮田部長のお父様の状況ですが、把握されていますか?
服部社長
 本人から連絡があるので、ある程度は分かっています。現在は手術をして入院中とのことです。意識はしっかりしているのですが、高齢ということもあり、退院したらもしかすると、車いすの生活になるかもしれないとのことでした。
大熊社労士
 なるほど。たいへんになりそうですね。ちなみに宮田部長はお父様と同居されているのですか?また、ほかに介護ができるご家族はいらっしゃるのでしょうか。
福島さん
 宮田部長、奥様、お父様との3人暮らしと聞いたことがあります。奥様も働いているので、宮田部長も介護にたずさわる必要があるかもしれませんね。
服部社長
 ごきょうだいもいるようですが、遠方に住んでいるはず。介護となると同居している宮田部長を中心に対応する必要があるのじゃないかな。
大熊社労士
 なるほど。
福島さん
 私自身は、宮田部長がこのままお父様の介護のために会社を辞めるというようなことになってしまうのか不安に思っています。
大熊社労士
 確かに不安に思いますよね。ただ、今は仕事と介護の両立のための制度が育児・介護休業法で整備されています。安易に退職を選択することのないように、服部社長からも制度の利用を推進してもらえればと思います。
服部社長
 もちろんです。ただ、介護休業は3ヶ月くらいですよね。それで父親の介護が終わるのでしょうか?
大熊社労士大熊社労士
 終わるかどうかはわからないですが、現在の介護休業の制度は、仕事との両立をするための制度になっています。宮田部長の場合も介護休業でお父様の介護に専念をするのではなく、介護休業をとるのであれば、復帰して介護をしつつ働いてもらえるようにする必要があるのでしょう。あ、もちろん介護に専念するということであれば、その目的で介護休業を利用いただいてもかまいません。
服部社長
 なるほど、ついつい自分で介護することを想像しがちですが、今は介護保険制度を利用して、ほかの人の手を借りることも考える必要があるのでしょうね。
大熊社労士
 その通りです。社長からはぜひ、仕事との両立をしてもらうように宮田部長に声掛けのほう、よろしくお願いいたします。
福島さん
 大熊先生、お話を聞いていて、私、従業員の仕事と介護の両立について考えたことがありませんでした。また、いろいろ教えてください。よろしくお願いいたします。

>>>to be continued

大熊社労士のワンポイントアドバイス[大熊社労士のワンポイントアドバイス]
 ご無沙汰をしています。大熊です。介護休業は、要介護状態にある対象家族を介護するための休業です。「介護するため」というのは、直接的に介護をするほか、例えば介護のために自宅をリフォームするといった対応のための休みとしても利用することができます。また、介護休業以外の制度も整備されています。今後も家族の介護をテーマに内容を確認していくことにしましょう。


参考リンク
厚生労働省「育児・介護休業法について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html
(宮武貴美)