被保険者の適用拡大等の雇用保険法改正に向け進む審議

 現在、雇用保険制度全般について、見直しの審議が行われています。昨日、厚生労働省で開催された「第190回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会」の資料では、「雇用保険部会報告(素案)」が公開され、企業の実務に大きな影響があると想像される内容について、以下の通り示されています

・雇用保険制度の適用拡大について
現在、週の所定労働時間が20時間以上の雇用労働者を適用対象としている雇用保険制度について、雇用労働者の中で働き方や生計維持の在り方の多様化が進展していることを踏まえ、雇用のセーフティネットを拡げる観点から、週の所定労働時間が10時間以上20時間未満の労働者にも適用することとし、事業主の準備期間等を勘案して、2028年度中に施行することとすべきである。

・基本手当(自己都合離職者の給付制限期間等)について
正当な理由がなく自己の都合により離職する者に対する基本手当の給付制限については、令和2年10月からその期間を3ヶ月から2ヶ月へ短縮しているところであるが、転職を試みる労働者が安心して再就職活動を行えるようにするため、令和7年度から、さらに1ヶ月へと短縮すべきである。その際、給付を目的とした早期退職行動を誘発しないよう、現行の5年間で3回以上の正当な理由のない自己都合離職の場合には給付制限期間を3ヶ月とする取扱いは維持すべきである。

・育児休業給付の給付率引上げについて
両親ともに育児休業を取得することを促進するため、令和7年度から、子の出生後一定期間内に、被保険者とその配偶者がともに一定期間以上の育児休業を取得した場合には、産後パパ育休期間と同じ期間である28日間を限度に、休業開始前賃金の80%相当額の給付を支給するようにすべきである。

・育児時短就業給付(仮称)について
現行の育児休業給付と同様、時短勤務開始日前2年間にみなし被保険者期間(時短勤務開始日を被保険者でなくなった日とみなして計算される被保険者期間に相当する期間)が12ヶ月以上ある被保険者を対象者とし、また、2歳未満の子を養育する場合に給付することととすべきである。さらに、給付対象となる時短勤務の労働時間又は労働する日数について、制限は設けないこととすべきである。
また、給付率については、時短勤務中の各月に支払われた賃金額の10%とし、その上で、高年齢雇用継続給付と同様に、給付額と賃金額の合計が時短勤務開始前の賃金を超えないよう、一定の賃金額を超えた場合には給付率を逓減させることとすべきである。

 これらの内容は一部であり、また、現段階は報告の素案であり、確定した内容ではありませんが、実務に大きな影響があることは間違いありません。


参考リンク
厚生労働省「第190回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会資料」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_36890.html
(宮武貴美)