愛知労働局における監督指導 法令違反は63.2%

 先月、愛知労働局は、令和4年の監督指導結果を公表しました。監督指導を6,288事業場に実施し、そのうち63.2%で法令違反が認められました。違反件数が多い項目と、その典型的な事例は以下のとおりです。

①労働時間・休日 20.4%
 時間外労働・休日労働に関する協定届(36 協定届)を所轄の労働基準監督署に届け出ることなく、労働者に法定労働時間・休日日数を超えて時間外労働・休日労働を行わせているもの。また、36 協定を届け出ているものの、協定した延長時間・休日日数を超えて時間外労働・休日労働を行わせているもの。

②安全基準 13.6%
 労働者の身体の一部が挟まれ、巻き込まれる危険がある機械の原動機、歯車、ベルト等に、覆い、囲いを設けていないもの。また、高さが2m以上の作業床、開口部に墜落の危険があるのに、手すり、覆い等を設けていないもの。

③割増賃金 13.1%
 時間外労働、深夜労働を行わせているのに、割増賃金(通常の賃金の2割5分以上)を支払っていないもの。本来、算定基礎に含めるべき職務手当等を算入せず、法定割増率を下回るもの。

④年次有給休暇 9.3%
 年次有給休暇が 10 日以上付与される労働者について、基準日から1年以内の期間に、5日以上の年次有給休暇を取得させていないもの。

⑤健康診断 9.0%
 常時使用する労働者に対して、1年以内毎に1回、定期健康診断を実施していないもの。深夜業など特定業務従事者に対し、配置替えの際及び6月以内毎に1回、定期に、健康診断を実施していないもの。

⑥労働条件の明示 8.1%
 労働者を採用するとき、賃金、労働時間その他労働条件を書面(労働条件通知書)で交付するなどの方法で明示していないもの。

 上記⑥については、2024年4月より、労働条件の明示事項の追加が行われることから、書面で交付することはもちろん、、明示事項を追加しておくことが必要です。確実に対応しましょう。


参考リンク
愛知労働局「令和4年度の愛知労働局における監督指導、申告処理及び司法処分の状況について」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/news_topics/051117_00001.html
厚生労働省「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32105.html

(福間みゆき)