更なる特例措置が設けられた能登半島地震の雇用調整助成金特例

 2024年1月12日の記事「能登半島地震の災害に伴う雇用調整助成金の特例措置」でご紹介したように、能登半島地震に関しては、雇用調整助成金の特例措置が設けられました。
 そして、さらなる特例措置として、昨日(2024年1月23日)、以下の①~⑥について特例措置の拡充が公表されました。なお、以下の⑦~⑩については2024年1月11日に特例措置として設けられています。

①休業等または出向を実施した場合の助成率の引き上げ
 【大企業】 1/2 ⇒ 2/3 【中小企業】 2/3 ⇒ 4/5
 新潟、富山、石川、福井の各県内の事業所が対象。

② 支給日数を「1年間で100日」から「1年間で300日」に延長
 新潟、富山、石川、福井の各県内の事業所が対象。

③ 新規学卒採用者など、雇用保険被保険者として継続して雇用された期間が6ヶ月未満の労働者についても助成対象とする

④ 過去に雇用調整助成金を受給したことがある事業主であっても、
 ・通常、支給日数は3年間で通算150日までのところ、今回の特例の対象となった休業等については、この制限は適用しない。
 ・前回の対象期間の満了日の翌日から1年を経過していなくても助成対象とする。

⑤ 休業等規模要件の緩和
対象労働者の所定労働日数に対する休業等の延日数の割合(休業等規模要件)
 【大企業】1/15以上⇒1/30以上 【中小企業】1/20以上⇒1/40以上
 新潟、富山、石川、福井の各県内の事業所が対象

⑥ 残業相殺の撤廃
 新潟、富山、石川、福井の各県内の事業所が対象
 残業相殺:支給対象となる休業等から所定外労働の時間を相殺して支給すること。

⑦ 生産指標の確認期間を3ヶ月から1ヶ月に短縮
最近1ヶ月の販売量、売上高等の事業活動を示す指標(生産指標)が、前年同期に比べ10%以上減少していれば、生産指標の要件を満たすこととなる。

⑧ 最近3ヶ月の雇用量が対前年比で増加していても助成対象とする
通常、雇用保険被保険者及び受け入れている派遣労働者の雇用量を示す雇用指標の最近3ヶ月の平均値が、前年同期比で一定程度増加している場合は助成対象となりませんが、その要件を撤廃する。

⑨ 地震発生時に事業所設置後1年未満の事業主についても助成対象とする
地震発生時において雇用保険適用事業所設置後1年未満の事業主については、生産指標を地震発生前の指標と比較する。

⑩ 計画届の事後提出が可能に
通常、助成対象となる休業等又は出向を行うにあたり、事前に計画届の提出が必要ですが、計画届の提出日が令和6年3月31日までの間である場合は、計画届を事前に提出したものとみなします。これにより、令和6年1月1日以降に開始された休業等や出向についても遡及して助成対象となる。

 このような拡充が行われることを考えると、いかに被害が甚大であったかが想像されます。厚生労働省のホームページには、特例に係るリーフレットのほか、特例用のガイドブックも掲載されていますので、申請を検討される方はご覧下さい。


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2024年1月12日「能登半島地震の災害に伴う雇用調整助成金の特例措置」
https://roumu.com/archives/120495.html
参考リンク
厚生労働省「雇用調整助成金 各種特例措置について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07_20200515.html#%E7%89%B9%E4%BE%8B
(宮武貴美)