これから活用が期待される年収の壁対策の助成金

 昨年秋に厚生労働省から公表された「年収の壁・支援強化パッケージ」では、事業主が、従業員を一定の基準に従って新たに社会保険に加入させた場合、1人あたり最大50万円を助成される「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」が注目されました。そして、現在も年収の壁対応策の周知・広報に力が注がれています。

 先日、厚生労働省が公表したこの助成金のコースの計画届受理件数(2023年11月末時点)では、全体では734件、取組予定労働者は13,403人となっています。また、社会保険適用時処遇改善コースには、2つのメニューと、それを組み合わせたメニューの3種類から選択できますが、グラフや以下の件数からわかるように、労働時間延長メニューが最も多くなっています

 ・手当等支給メニュー 3,828人
 ・労働時間延長メニュー 6,535人
 ・併用(手当等支給+労働時間延長)メニュー 3,040人

 今後、例えば、4月で労働条件の見直しを行いパートタイマーやアルバイトが社会保険に加入するような労働時間数に伸ばすような企業は活用を考えたいものです。

 なお、2024年1月31日までは、計画期間開始日の前日までに届け出が必要な「キャリアアップ計画書」について、取組みを始めた後での計画または変更の届出が受け付けられることになっています。この例外が使える期間はわずかですので、検討されている会社は速やかに、そして確実に、管轄労働局に提出しましょう。


参考リンク
厚生労働省「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/syakaihoken_tekiyou.html
(宮武貴美)