制度導入が進む仕事と不妊治療の両立支援

 多様な働き方が求められるような社会になり、従業員個人の事情に合わせた両立支援制度を考える企業が増えているように思います。その個人の事情のひとつ、不妊治療に関し、厚生労働省が委託事業として実施したアンケートの調査結果が公表されました。

 調査は、不妊治療と仕事との両立に係る最新の実態やニーズを把握するため、企業と労働者に対し調査が実施されています。なお、企業調査のアンケート回収数は1,859 社(回収率31.0%)であり、労働者調査は男女労働者2,000人に実施しています。

 その調査結果のポイントは以下の通りとなっています。
【調査結果のポイント】
・不妊治療を行っている従業員が受けられる支援制度等がある企業の割合は26.5%
・不妊治療をしたことがあるまたは近い将来予定していると答えた人の割合は14.5%
・不妊治療をしたことがあると答えた人のうち、不妊治療と仕事の両立ができずに仕事を辞めた人は10.9%
・労働者が、行政に望む支援として一番多い回答は、「企業における不妊治療と仕事との両立を支援するための勤務時間、休暇等に関する制度の導入を促す」

 不妊治療については、同僚や会社に報告をすることについて、消極的な従業員も多いのではないかと想像されます。いかに従業員に求められる制度が導入できるかが制度活用の鍵になります。制度づくりを検討している企業は労働者アンケート調査の結果を参考にすると活きた制度が作れるかもしれません。


参考リンク
厚生労働省「「不妊治療と仕事の両立に係る諸問題についての総合的調査」結果について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_39168.html
(宮武貴美)