中途採用担当者が想定する「中途社員の在籍期間」は平均4年

 先日公開されたマイナビ「企業の雇用施策に関するレポート(2024年版)」。この調査は、全国の民間企業等にて、中途採用業務のうち「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者を対象に、雇用施策の導入傾向や今後の意向を明らかにすることを目的として行われたものです。

(調査期間:2023年12月15日~12月18日 調査方法:インターネット調査 調査対象:従業員数3名以上の企業において、直近(2023年1~12月)に中途採用業務を担当し、「採用費用の管理・運用」に携わっている人事担当者 有効回答数:1,400 社)

 今回はこの調査の結果から、中途社員の在籍期間に関する項目についての状況を見ていきたいと思います。

  •  直近1年間に採用した中途社員の想定在籍期間は平均で約4年(47.5カ月)は「3~4年未満」が20.9%で最も高い。
  •  業種別に見ると『流通・⼩売・フードサービス』では平均が30.2カ月と顕著に短い。
  • これまで入社した中途社員(正社員)の最短在籍期間は平均で約1年(13.1ヶ月)。「1~3ケ月未満」が35.3%で最も高い。
  •  従業員規模の大きい企業ほど、最短在籍期間も長くなる傾向にある。業種別では『流通・⼩売・フードサービス』では平均が7.3カ月と短い。
  •  正社員の平均的な在籍期間は平均で約6年(70.1ヶ月)。最も高いのは「1年未満」の26.6%。
  •  業種別では『医療・福祉・介護』の平均が38.8カ月と他業種比で顕著に短い。

 今回の調査結果から、中途採用担当者は在籍期間3~5年未満を想定して中途社員を採用しているということが明らかになりました。

 想定在籍期間の理由について、3年未満を想定する人事担当者からは「転職が当たり前の時代だから」、5年以上を想定する人事担当からは「5年以内には採用に掛けた労力を回収できるから」などのコメントが挙がったということで、同調査はこの結果から「企業側でも転職の一般化が認識され、中途採用者の再転職も見越した採用活動を行っている様子がうかがえる。」と分析しています。このように転職の一般化が進むことで、今後人材の流動化も進み、事業戦略に伴う人員計画や採用計画も、より短期的なスパンで設計されるようになっていくのかもしれません。

 また、改めて、中小企業の採用・定着がより難しい状況になってきているということも、顕著に表れています。初任給の高騰や賃上げ、リスキリングへのニーズの高まりなど、人への投資が求められるようになる中で、事業にとって望ましい形での資源配分を実現するためにはどうすればよいのか、今後ますます問われてくることとなりそうです。


参考リンク
マイナビ「企業の雇用施策に関するレポート(2024年版)」
https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/03/kigyounokoyousisakunikansururepo-to2024-1.pdf

(菊地利永子)