20代の約7割が副業希望

 副業を認める制度を設ける企業が年々増加する一方、副業実施率は10%に満たない水準で過去3年間横ばいで推移しており、伸び悩んでいる状態です。先般、リクルートは同社が実施した「兼業・副業に関する動向調査 2022」から副業実施者の特徴や副業の満足度分析を行い、その結果を発表しました。今回の記事ではその内容を見ていきたいと思います。

 本調査の主要なポイントは以下のようになっています。
(1)兼業・副業の実施状況
9.9% 兼業・副業実施中
5.3% 今後の実施意向あり/過去に経験あり
41.1% 今後の実施意向あり/過去に経験なし
3.3% 今後の実施意向なし/過去に経験あり
40.4% 今後の実施意向なし/過去に経験なし

(2)副業実施経験と本業の満足度
■副業実施者
満足群38.7% どちらでもない41.4% 不満群19.8%
■副業非実施者
満足群26.2% どちらでもない51.6% 不満群22.2%

(3)兼業・副業で得た経験が自社の主たる業務に還元できているか
13.4% 本業に還元できていると思う
42.9% どちらかというと本業に還元できていると思う
27.2% どちらともいえない
6.8% どちらかというと本業に還元できていないと思う
4.1% 本業に還元できていないと思う
5.6% わからない

 このように、副業実施者の方が未実施者と比較して本業への満足度が高く、副業の経験が本業に還元できていると感じている傾向にあることが明らかになりました。また、副業実施者のキャリア観を見ると、副業非実施者と比べ自身のキャリアに対する関心が高く、自身のキャリアを検討する際の選択肢の一つとして、副業という手段をとらえているということが見て取れるとしています。

 今回の調査は、副業が本業に与えるポジティブな影響を明らかにし、企業としても副業実施率を上げていく価値を具体的に示した点で、注目したい内容となっています。 

 一方で、調査内では、副業実施者経験がある人の中には、副業と本業を両立させるための効率的な時間管理が難しいと感じる人が多いということも指摘されています。レポートでは、送り出し・受け入れ企業ともに積極的な環境整備を、と結ばれていますが、労働時間の通算の問題もあり、企業側も難しさを抱えている状況です。

 割増賃金にかかる労働時間通算は成長戦略2024の中でも見直しの方向性が示されていますが、企業・個人双方の成長につながる施策が進められるよう、国も含めての議論がさらに進展していくことが望まれます。


参考リンク
リクルート「「兼業・副業に関する動向調査 2022」を追加分析
副業実施者は本業の満足度が高く、キャリアへの関心が高い傾向 (2024/1/23)」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/assets/20240123_work_01.pdf

(菊地利永子)