2025年の賃上げ見込みは「4~5%未満」が最多に
今春は歴史的な水準の賃上げになりましたが、来春の賃上げについて企業はどのように考えているのでしょうか?本日は、経済同友会の「2024年6月(第149回)景気定点観測アンケート調査」から、2025年の賃上げについての意向を見ていくことにしましょう。なお、この調査は経済同友会幹事等624社を対象に実施されたもので、回答は大企業(資本金10億円以上)124社、中堅企業(資本金1億円以上10億円未満)30社、中小・零細企業(1億円未満)25社、その他3社の合計182社となっています。
(1)賃上げの実施予定
実施予定 67.6%(製造業80.4%・非製造業62.5%)
実施予定はない 5.0%(製造業3.9%・非製造業5.5%)
その他 27.4%(製造業15.7%・非製造業32.0%)
(2)予定している賃上げの方法 ※実施予定企業対象
定期昇給 64.5%
ベースアップ 60.3%
初任給引き上げ 33.9%
一時金の支給・増額 26.4%
ジョブ型の導入など賃金体系の見直しに伴う賃金総額の底上げ 10.7%
その他 4.1%
(3)2025年の賃上げ率(年収ベース) ※実施予定企業対象
1%未満 0.9%
1~2%未満 8.3%
2~3%未満 21.1%
3~4%未満 23.9%
4~5%未満 30.3%
5~6%未満 10.1%
6~7%未満 0%
7~8%未満 2.8%
8%以上 2.8%
このように来春についても多くの企業が賃上げを予定しており、その賃上げ率の回答でもっとも多かったのが「4~5%未満」という今週の賃上げに近い水準となりました。今後の最低賃金の引き上げも概ね同様の率で行われることが予想されますので、その影響で高卒初任給が上昇し、継続的に全体の賃金水準・賃金カーブに影響を与えることになるでしょう。賃上げの原資を確保するための収益性の向上を進めると共に、社内での不公平感などを生まないような賃上げの在り方を検討していきましょう。
参考リンク
経済同友会「2024年6月(第149回)景気定点観測アンケート調査結果(2024/7/11)」
https://www.doyukai.or.jp/policyproposals/uploads/docs/20240711a.pdf
(大津章敬)