労基署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和5年の監督指導の状況 8割の事業場で労働基準関係法令違反
トラック、バス、タクシーなどの自動車運転者については今年の4月より時間外労働の上限規制が適用されていますが、先日、厚生労働省より、全国の労働基準監督署等が、令和5年にトラック、バス、タクシーなどの自動車運転者を使用する事業場に対して行った監督指導(立入調査)や送検等の状況について取りまとめ、公表しました。
監督指導を実施した事業場は3,711事業場で、このうち82.2%に当たる3,049事業場で労働基準関係法令違反が認めらました。また、改善基準告示※違反が認められたのは、1,999事業場(53.9%)でした。
※「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」(平成元年労働省告示第7号)
主な労働基準関係法令違反事項をみてみると、労働時間1,739事業場(46.9%)、割増賃金の支払785事業場(21.2%)、労働時間の状況の把握297事業場(8.0%)でした。次に、主な改善基準告示違反事項をみてみると、最大拘束時間1,454事業場(39.2%)、総拘束時間1,140事業場(30.7%)、休息期間1,043事業場(28.1%)となっています。
厚生労働省では、引き続き、自動車運転者を使用する事業場に対し、労働基準関係法令などの周知・啓発に努め、法令違反の疑いがある事業場に対しては監督指導を実施し、自動車運転者の適正な労働条件の確保に取り組んでいくとしています。また、2022年12月から、トラック運転者の長時間労働の是正のため、都道府県労働局に「荷主特別対策チーム」を編成し、長時間の恒常的な荷待ちを発生させないこと等について、発着荷主等に対して要請する取組を行っています。荷主・元請運送事業者向けに厚生労働省からリーフレットが出ていることから、荷主となり企業は内容をみておきましょう。
リーフレットはこちら「STOP!長時間の荷待ち」
https://roumu.com/archives/119294.html
参考リンク
厚生労働省「労働基準監督署等が自動車運転者を使用する事業場に対して行った令和5年の監督指導、送検等の状況を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41824.html
厚生労働省「「荷主特別対策担当官」は「トラックGメン」による発着荷主等に対する「働きかけ」等に参加します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_35659.html
(福間みゆき)