前職と比べ賃金が1割以上増加した転職者数の割合、過去最高の36.0%に

 私が毎回、発表を楽しみにしている調査の一つが、リクルートの「転職時の賃金変動状況」です。これは、「前職と比べ賃金が明確に(1割以上)増加した転職者数の割合」を調査し、その経年変化を観察しているものですが、その2024年4-6月期の最新データが公表されました。

 その結果は、前年同期差+1.0ポイントの36.0%と過去最高を更新しました。2002年からのグラフは参考リンク先をご覧いただければと思いますが、2002年には24.8%だったこの数値は、リーマンショックとコロナショックの時期を除き、ほぼ右肩上がりで上昇し、今回、過去最高を更新しています。細かく見ると職種により差異は出ていますが、人手不足による転職市場の活況が感じられます。
 
 政府としても、労働者のリ・スキリングを進め、成長分野への転職を促進して構造的賃上げを進めるという方針を示していますが、実際に転職により賃金が増加している事例が多くなっていることから、更なる転職の増加が予想されます。企業としては人材のリテンションを進めると共に、外部労働市場から中途採用者を確保できるような環境の整備が求められます。


参考リンク
リクルート「2024年4-6月期 転職時の賃金変動状況(2024/8/6)」
https://www.recruit.co.jp/newsroom/pressrelease/2024/0806_14622.html

(大津章敬)