女性管理職割合の平均、初の10%台に前進 上昇幅も過去最大に

 先日、帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施した結果、女性管理職割合は平均10.9%と過去最高を更新し、2013年の調査開始以来初めて10%を超えたと発表しました。また、政府目標である「女性管理職30%」を達成している企業の割合も過去最高となる11.4%となったということです。(※調査期間:2024年7月18日~31日、調査対象:全国27,191社、有効回答企業数11,282社(回答率41.5%))

●管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合
 30%以上        … 11.4%
 20%以上 30%未満   …  6.4%
    10%以上 20%未満   …  9.1%
 10%未満           …  25.5%
 管理職が全員男性である企業…  43.0%

 また、自社における女性管理職の割合が、現在と比較して今後どのように変わると考えているという質問に対しては、女性管理職の割合が「増加する」と見込んでいる企業は32.7%となった一方で、「変わらない」と答えた企業が42.4%存在しました。

●女性管理職の割合の今後の変化
 増加する  … 32.7%
 変わらない … 42.4%
 減少する  …   1.2%
 わからない … 23.7%

 2024年8月8日には厚生労働省が進めてきた「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」の報告書が公表されましたが、同報告書からも、女性活躍の状況に係る各種指標は、緩やかながらも全体的に上向いていることが明らかになっていたところです。これらは女性活躍推進法の制定以来の10年近くにわたる取組みや、その他の施策の相乗効果で企業の取組が促進された結果と言えるでしょう。

 ただし、男女間賃金差異の縮小や、女性管理職比率等の達成水準は国際的に見ても見劣りしているほか、特に女性管理職比率については、政府目標の達成に遅れが見られ、一層の取組が必要であると指摘されています。報告書では、こうした状況を踏まえ、今後「女性管理職比率については、企業の実情を踏まえつつ開示必須項目とすることが適切である」と示されています。

 労働力人口の減少に加え、性別に関係なく管理職へのを望まない一般社員の割合がおよそ8割近くにまで達しているとの調査結果もある中で、管理職のなり手不足に悩む企業は年々増加しています。一方で、管理職は短期間では育たず、管理職育成に必要な人事制度・人材育成の仕組みや管理職の労働環境整備に加え、その他両立支援等の施策の効果が現れるまでには一定の期間を要するため、中長期にわたり継続的に取り組んでいく必要があるものです。

 冒頭で触れた今回の帝国データバンクの調査では、女性管理職の割合について今後も「変わらない」とする企業が4割を超えているとの結果が出ていましたが、特に管理職候補の人材不足や、人材の採用・定着等に課題感を抱いている場合においては、今後の企業の継続性を担保するためにも、できるだけ早く取り組みに着手しておきたい人事課題のひとつであると言えるでしょう。


参考リンク
帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査 2024年(2024/8/23)」
https://www.tdb-di.com/2024/08/sp20240823.pdf
厚生労働省「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会 報告書 (2024/8/8)」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909500/001285696.pdf
JMAM「管理職の実態に関するアンケート調査(2024/6/25)」
https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0095-kanrishokuchousa.html

(菊地利永子)