2024年春、60.6%の中小企業が賃金引上げを実施

 今春は多くの企業で賃上げが実施されましたが、中小企業の実態はどうなっているのでしょうか?本日は、全国中小企業団体中央会の中小企業労働事情実態調査の中から、賃上げの状況を見てみることとします。なお、本調査は、2024年7月1日時点での従業員規模300人以下の約40,000事業所を対象に実施されたもの(有効回答数:17,066)となります。
(1)賃金改定の実施状況
60.6% 引き上げた
0.4% 引き下げた
10.4% 今年は実施しない(凍結)
12.6% 7月以降引き上げる予定
0.5% 7月以降引き下げる予定
15.6% 未定
 なお、引き上げたの回答を時系列で見ると、以下のように毎年、その割合が上昇しています。
令和6年度 60.6%
令和5年度 58.1%
令和4年度 50.6%

(2)賃金改定の内容
54.1% 定期昇給
34.9% 基本給の引き上げ(定期昇給制度のない事業所)
31.2% ベースアップ
16.5% 諸手当の改定
14.0% 臨時給与(夏季・年末賞与など)の引き上げ

(3)賃金改定の決定要素
64.0% 労働力の確保・定着
52.6% 企業の業績
48.4% 物価の動向
36.6% 世間相場
24.7% 賃上げムード

(4)平均賃金改定率
令和6年度 3.74%
令和5年度 3.35%
令和4年度 2.47%

 来年も引き続き、賃上げの動きは継続することが確実な状勢です。賃上げ原資の確保に向け、集積性向上や価格転嫁などの対応を真剣に議論することが求められます。


参考リンク
全国中小企業団体中央会「令和6年度 中小企業労働事情実態調査結果(2024/10/1)」
https://www.chuokai.or.jp/images/2024/09/20241001_R6roudougaiyou.pdf

(大津章敬)