2035年の日本は384万人相当の労働力不足の見込み

 少子高齢化の影響で労働力不足の状態が継続していますが、この状況は更に深刻化していくという調査結果が公表されました。本日はパーソル総合研究所と中央大学が共同研究した「労働市場の未来推計2035」の結果を取り上げたいと思います。
 
 そのポイントは以下のようになっています。

  1. 2035年、日本では1日あたり1,775万時間(384万人相当)の労働力不足が見込まれる。これは、働き手384万人分の労働力不足に換算され、2023年よりも1.85倍深刻になる。
  2. 就業者数(労働供給)は、2023年時点の6,747万人に対して、2030年は6,959万人、2035年には7,122万人と増加していく見込みである。
  3. 性年代別にみた労働力率(労働参加率)は、2023年時点から全体的に上昇していく見込み。女性の労働力率の上昇幅が大きく、特に女性60代は20pt以上の上昇見込み。
  4. 外国人就業者数(労働供給)は、2023年時点の205万人に対して、2030年に305万人、2035年には377万人と増加していく見込みである。
  5. 就業者1人あたりの年間労働時間は、2023年の1,850時間に対して、2030年に1,776時間、2035年には1,687時間と減少していく見込みである。
  6. 産業別でみると、最も労働力が不足するのは「サービス業」で532万時間不足/日となり、次いで「卸売・小売業」が354万時間/日、「医療・福祉」が226万時間/日の労働力不足となる。
  7. 職業別でみると、最も労働力が不足するのは「事務従事者」で365万時間不足/日となり、次いで「専門的・技術的職業従事者」が302万時間/日、「サービス職業従事者」が266万時間/日、「販売従事者」が245万時間/日の労働力不足となる。
  8. 都道府県別では、特に東北エリアの労働力不足率が高くなる見込みである(労働不足率の上位は秋田19.1% 山形16.4% 長崎16.2%)。

 このように女性の労働力率の上昇、そして高齢者および外国人就業者数の増加により就業者数は増加するものの、就業者1人あたりの年間労働時間もあり、全体としては労働力不足が進むという予想となっています。こうした状況に対応するためには、シニアや副業人材などの潜在的な労働力の活用と共に、生成AIなどのテクノロジーの活用や人材投資が重要になって来るでしょう。人材が、経営資源の中でもっとも貴重な市ロースとなる時代です。いまの時点から20年後の環境を見越して、打つべき手を打っていきましょう。


参考リンク
パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2035(2024/10/17」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/roudou2035/

(大津章敬)