労働基準法等改正に向けた労働基準関係法制研究会報告書が公開
昨年1月より厚生労働省で開催されてきた「労働基準関係法制研究会」(座長:荒木尚志東京大学大学院法学政治学研究科教授)が報告書をとりまとめ、公表しました。
この報告書では、労働基準法における「労働者」「事業」、そして労働組合の組織率が低下する中での組織コミュニケーションの在り方といった労働基準関係法制に共通する総論的課題について検討した上で、労働時間法制の具体的課題とその見直しの方向性について示されています。
総論的課題については今後も国内外の実態や国際的な動向の把握を進め通、学術的な検討が必要な内容が多くなっていますが、労働時間法制については以下のように具体的な制度改定の方向性が述べられています。
- 時間外・休日労働の実態についての情報開示
- フレックスタイム制におけるコアデイの導入
- 法定労働時間週44時間の特例措置の廃止
- 管理監督者への健康・福祉確保措置の導入
- 法定休日の特定
- 13日を超える連続勤務の禁止
- 勤務間インターバル制度の導入促進
- 年次有給休暇取得時の賃金算定における通常賃金方式の原則化
- 副業・兼業時の割増賃金支払いにおける労働時間通算ルールの撤廃
今後、厚生労働省では労働政策審議会での議論を通じて、改正法案のとりまとめを進めることになります。その場合、2026年1月からの通常国会で審議され、2027年4月以降の施行となることが予想されます。大きな改正が見込まれますので、今後の動向についても注目して行きましょう。
参考リンク
厚生労働省「労働基準関係法制研究会の報告書を公表します」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_48220.html
(大津章敬)