低下する兼業・副業の実施意向
新型コロナウイルスの感染拡大以降、新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響を継続的に調査している日本生産性本部の「働く人の意識調査」ですが、先日、その第16回の結果が公表されました。本日はその中から、兼業・副業の実施意向について見ていきたいと思います。
兼業・副業の実施意向について、その意向がもっとも高かった2020年10月の結果と今回の結果を比較すると以下のようになっています。
現在、兼業・副業を行っている 10.0%→9.3%
将来的には行ってみたい 40.6%→27.2%
兼業・副業を行う気はない 49.4%→63.5%
このように「現在、兼業・副業を行っている」の回答は概ね10%弱で安定していますが、「将来的には行ってみたい」という回答は継続的に低下し、今回、調査開始以来最低の27.2%となりました。この背景には雇用不安の緩和が関係していると考えられます。「雇用不安を感じる」と回答している者の副業実施意向(行っている+行ってみたい)は49.3%と高い水準にある一方、「雇用不安を感じない」者においては24.4%と半分以下の回答に止まっています。
コロナの感染拡大期は雇用不安が高かった上に、時間的な余裕もあったため、兼業・副業の実施意向が高まりましたが、その後、正常な生活を取り戻すにつれ、意向が低下したようです。
兼業・副業については今後、割増賃金計算における労働時間通算ルールの廃止が予想されますが、その関心がどこまで高まるかが注目されます。
参考リンク
日本生産性本部「第16回 働く人の意識調査(2025/1/30)」
https://www.jpc-net.jp/research/detail/007214.html
(大津章敬)