教育訓練の受講で解除される雇用保険の基本手当の給付制限
従業員(雇用保険の被保険者)が退職し、次に勤務先を探す場合には雇用保険の基本手当の受給を考えるかと思われます。
正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合には、基本手当は、その受給資格決定日から7日間の待期期間満了後、1ヶ月から3ヶ月間(※)の支給されない期間(給付制限)が設けられます。
この給付制限について、2025年4月以降にリ・スキリングのために教育訓練等を受けた(受けている)場合、給付制限が解除され、待期期間満了後すぐに基本手当を受給できるようになります。
給付制限が解除される受給者は、以下のいずれかの教育訓練等を離職日前1年以内に受けた人(途中退校は該当しない) または離職日以後に受けている人です。
①教育訓練給付金の対象となる教育訓練
②公共職業訓練等
③短期訓練受講費の対象となる教育訓練
④①~③に準ずるものとして職業安定局長が定める訓練
なお、対象になる教育訓練等は、2025年4月1日以降に受講を開始したものに限ります。
教育訓練等を受けた(受けている)人が給付制限の解除を受けるには、受講開始以降、受給資格決定日や受給資格決定後の初回認定日(初回認定日以降に受講を開始した場合は、その受講開始日の直後の認定日)までに申し出る必要があります。その際、練開始日が記載された領収書または訓練実施施設による訓練開始日の証明書等、添付書類が必要になります。
退職予定者の中には、退職後の生活のために給付制限の受給時期をなるべく早くしたいという人もいるため、このような制度があることを退職時に伝えることが望ましいのでしょう。
※退職日が2025年4月1日以降である場合は原則1ヶ月、2025年3月31日以前である場合は原則2ヶ月ただし、退職日から遡って5年間のうちに2回以上正当な理由なく自己都合退職し受給資格決定を受けた場合、給付制限は3ヶ月となる。自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇(重責解雇)された場合、給付制限は3ヶ月。
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2024年5月20日「2025年4月以降順次改正の雇用保険法の解説資料」
https://roumu.com/archives/122569.html
参考リンク
厚生労働省「令和7年4月以降に教育訓練等を受ける場合、給付制限が解除され、基本手当を受給できます」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00045.html
(宮武貴美)