職場での「旧姓の通称使用」、 企業の約7割が容認・または容認を検討中
社会において旧姓を使用しながら活動する女性が増加している中、様々な活動の場面で旧姓を使用しやすくなるようにと、政府は、公的な場面での旧姓の通称使用を段階的に認めてきています。例えば現在では、パスポートや運転免許証、住民票やマイナンバーカード等に、旧姓を併記することができるようになっていますが、直近での企業の状況はどうなっているのでしょうか。
先日、帝国データバンクは、旧姓の通称使用に関するアンケート調査を実施しその結果を公表しました。(調査期間:2025年3月7日~12日、調査対象:有効回答企業数:1,386社、調査方法:インターネット調査)同調査の結果によると、職場での旧姓の通称使用を「認めている」企業の割合は63.6%に上り、「検討中」を合わせた『容認・検討中』の企業は7割を超え、特に大企業では8割に近い企業で旧姓の通称利用を認めていることが明らかになりました。
●旧姓の通称使用状況
「認めている」…63.6%
「認めていないが使用について検討中」…6.9%
「認めていない」…9.2%
「分からない」…20.3%
●規模別 旧姓の通称使用を「認めている」企業の割合
「大企業」…78.7%
「中小企業」…69.2%
「小規模企業」…64.0%
一方で、旧姓の通称使用に対する負担感については、負担感が「ない」と回答した企業は50.7%と半数を超えました。これらの企業については、システムの運用でカバーできることが多いという回答があったそうです。
●旧姓の通称使用」に対する企業の負担感は
「負担感はない」…50.7%
「多少は負担に感じる」…11.0%
「負担に感じる」…2.6%
「どちらとも言えない」…25.5%
内閣府が実施した「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年9月調査)」によれば、結婚して戸籍上の姓が変わった場合、働く時に旧姓の通称使用を希望する人は43.3%に上り、前回調査から4.2ポイント増加。特に、年代別では30歳代以上の全年代で増え、最も高かったのは30歳代の57.8%と半数以上が通称使用を希望しているという結果も出ています。
こうした傾向から見ても、今後、企業における旧姓の通称利用は広がっていくことになりそうです。
参考リンク
帝国データバンク「旧姓の通称使用に関する企業の実態アンケート」(2025/3/14)
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250314-kyusei/
内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査(令和6年9月調査)」(2025/2/27)
https://survey.gov-online.go.jp/women_empowerment/202502/r06/r06-danjo/
(菊地利永子)