骨太の方針2025に見る副業兼業の推進

 副業兼業については、以前より人手不足対策やイノベーションの創出などの観点からその普及が推し進められてきましたが、先日閣議決定された骨太の方針2025の中でも、以下の2か所で記載が見られます。
(1)物価上昇を上回る賃上げの普及・定着 ~賃上げ支援の政策総動員~
 地域の経営人材を確保するため、「週一副社長」の普及、マッチング支援の強化、副業・兼業の促進に取り組む。
(2)地方創生2.0の推進 ~令和の日本列島改造~
 一人一人が活躍できる社会の実現に向け、希望する職員の副業・兼業が可能な職場環境を整備した事業者数10割を目指す。このため、地方公共団体や地域金融機関、JA等において、希望する職員の副業・兼業が可能となるよう、許可基準の弾力化や就業規則の改定を促進することを含め必要な環境整備を進める。

 (1)にある「週一副社長」というのは、都市部の経営人材が、副業・兼業の形式で週に1回程度、地方の中小企業等の経営に関与することを指しており、大企業で経営企画などを行っている人材が地方企業の経営を副業として伴走するというようなことが想定されているようです。
 
 (2)については、地方創生の観点から、地域の働き方・職場改革の一環として副業兼業を推進するというもの。すべての事業者で副業兼業ができるような環境整備を目指しており、その普及に向けた様々な働きかけが行われることになりそうです。
 
 また法律の面でも、今後割増賃金にかかる労働時間通算の見直しの議論も進められており、今後数年で副業兼業がかなり普及する可能性が高いと考えられます。いまからその時代に備え、従業員の職務設計など対応を進めていきましょう。


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2025年6月2日「規制改革推進会議、副業兼業時の労働時間通算見直しなどを含む答申を実施」
https://roumu.com/archives/127836.html

参考リンク
内閣府「経済財政運営と改革の基本方針2025」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/honebuto/2025/decision0613.html
内閣府「第23回規制改革推進会議(2025/5/28)」
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/committee/250528/agenda.html
規制改革推進会議「第3回 働き方・人への投資ワーキング・グループ 副業・兼業の更なる円滑化に向けた環境整備について」
https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/2501_03human/250408/human03_agenda.html

(大津章敬)