愛知労働局「令和8年度愛知労働局行政運営方針」のポイント

愛知労働局は先日、「令和8年度愛知労働局行政運営方針」を公表しました。今年度の方針は、物価上昇を上回る持続的な賃上げ、深刻化する人手不足への対応、そして多様な人材が安心して働ける職場環境の整備を主軸としています。本資料のポイントを以下の3つの柱に沿って要約します。
(1)最低賃金・賃金の引上げと非正規雇用者への支援
愛知県の最低賃金は、令和7年10月18日より過去最大の63円引上げとなり、時間額1,140円となりました。

  • 賃上げ支援:中小企業が賃上げしやすい環境を整えるため、厚生労働省や中小企業庁、自治体の助成金をまとめた「賃上げ支援助成金パッケージ」の周知を強化しています。また、「愛知働き方改革推進支援センター」に相談窓口を設置し、個別相談に対応します。
  • 取引適正化:「労務費価格転嫁指針」の周知を図り、適切な価格転嫁を後押しすることで賃上げの原資確保を支援します。
  • 非正規雇用の処遇改善:同一労働同一賃金の遵守を徹底し、パートタイム労働者や派遣労働者の処遇改善、正社員転換を行う企業を支援します。

(2)人材確保支援とリスキリングの推進
人手不足感が深刻化する中、マッチング機能の強化と生産性向上に向けた人材育成に注力しています。

  • マッチング支援:ハローワークによる人手不足分野(医療・介護・保育・建設・警備・運輸等)へのマッチング支援を強化しています。
  • リスキリング(学び直し):デジタル推進人材の育成を支援するため、生成AI(ChatGPT等)の活用を含むデジタルスキルの習得を促進しています。ハローワークでは、デジタルスキルを必要とする求人を「DX推進求人」として位置づけ、訓練受講者等への情報提供を行っています。
  • 技能振興:愛知県の基幹産業である製造業の人材確保に向け、2028年技能五輪国際大会の周知や、若者のものづくりへの関心喚起に取り組んでいます。

(3)多様な人材の活躍促進と職場環境改善
生産年齢人口の減少に伴い、多様な人材が能力を発揮できる環境づくりを推進しています。

  • 女性活躍:正規雇用率の低さや男女間賃金差異の大きさを課題とし、令和8年4月から義務化される男女間賃金差異等の情報公表の履行を確保します。また、マザーズハローワークを通じて子育て中の女性の就職を支援します。
  • 両立支援と多様な働き方:育児・介護休業法の改正内容を周知し、仕事と育児・介護の両立支援を推進します。テレワークの導入や年次有給休暇の取得促進(「あいちウィーク」に合わせた広報等)により、ワーク・ライフ・バランスの向上を図ります。
  • ハラスメント対策と就業環境:総合的なハラスメント対策を推進するとともに、令和6年11月から施行されたフリーランス法に基づき、フリーランスの就業環境整備や相談対応を強化します。
  • 安全と健康:労働災害の防止に向けたリスクアセスメントの指導や、デジタル技術を活用した効率的な安全衛生管理を推進します。

このように愛知労働局では「賃上げ・人材確保・環境改善」を連動させ、愛知県内の企業と労働者が共に持続的に発展できる環境の実現を目指しています。今年度の労働行政の基本となる資料ですので、愛知県内企業の経営者、人事労務担当者のみなさんは是非、内容をご確認ください。


参考リンク
愛知労働局「令和8年度愛知労働局行政運営方針」
https://jsite.mhlw.go.jp/aichi-roudoukyoku/content/contents/002630878.pdf

(大津章敬)