中小企業でもっとも定着率が高い採用手法となったリファラル採用
深刻な人手不足が続くなか、経営者や人事担当者にとっては「如何に優秀な人材を確保し、定着させるか」は最重要課題です。求人広告を出し、高い手数料を払って転職エージェントを利用しても、早期離職されてしまってはコストも時間も水の泡となってしまいます。こうした中、近年注目されているのが「リファラル採用(社員紹介)」です。今回は東京商工リサーチが2026年6月に発表した「企業の採用に関するアンケート調査」の中から、リファラル採用の現状について見ていきたいと思います。
同調査によると、従業員の定着率がもっとも高い採用方法として、全体の18.5%の企業が「リファラル採用」を挙げました。これは「ハローワークを通じた中途採用(12.1%)」や「新卒採用(10.4%)」、「転職エージェントからの紹介(5.4%)」を大きく上回る結果です。
特に注目すべきは企業規模による格差です。大企業では「新卒採用」の定着率が26.5%ともっとも高いのに対し、中小企業ではわずか9.1%に留まり、代わりに「リファラル採用(19.0%)」がトップに立ちました。知名度や採用力で劣る中小企業にとって、新卒に依存するリスクは高く、既存社員の「つながり」を活かした採用こそが、ミスマッチを防ぎ定着率を向上させる特効薬になっている現実が見えてきます。現在、リファラル採用を導入している企業は全体で約半数(49.2%)、大企業では6割を超えており、すでに一般的な手法として定着しつつあります。
リファラル採用が定着しやすい理由は、自社の社風や業務内容を理解している社員が「この人なら合う」と判断して紹介するため、入社前の期待と現実のギャップ(リアリティ・ショック)が少ないことにあります。しかし、制度を導入・運用するにあたっては労務上の留意点があります。それが「紹介報酬(インセンティブ)」の扱いです。同調査では、紹介報酬を「支払っていない(40.9%)」「明確な規定はない(20.4%)」という企業が過半数を占める一方、支給している企業では「1万円~10万円未満(20.7%)」が最多となっています。
時間をかけて新卒を育てる大企業の手法と、即戦力かつカルチャーマッチを重視してリファラルやアルムナイ(退職者再雇用)を活用する中小企業の手法。どちらが正解ということはありません。人手不足と人件費の上昇が進むいまだからこそ、自社の成長フェーズや組織風土に合わせ、社員のエンゲージメントを高めながら「長く働いてくれる仲間」を募る戦略を組み立てていくことが求められます。
参考リンク
東京商工リサーチ「2026年6月 企業の「採用」に関するアンケート調査」
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202969_1527.html
(大津章敬)

