過去最高を記録するも企業間格差が大きい女性管理職・女性役員の登用
女性活躍やダイバーシティが叫ばれる中、女性管理職や女性役員の増加が大きなテーマとなっています。そこで本日は、帝国データバンクが発表した「女性登用に対する企業の意識調査(2026年)」からその最新状況を見ていくこととします。
これによれば、女性管理職の平均割合は11.3%(昨年11.1%)、女性役員の平均割合は14.2%(昨年13.8%)となり、ともに過去最高を更新しました。数値だけを見れば、日本企業における女性活躍推進は堅調に着実な歩みを進めているかのように思えます。しかし、その実態を紐解いていくと、単なる「数値の上昇」だけでは語れない、深刻な二極化と構造的な課題が浮かび上がってきます。
本調査でもっとも注目すべきは、女性管理職が「0%(全員男性)」と回答した企業が依然として42.1%と4割を超え、女性役員が「0%」の企業に至っては51.5%と半数以上に達している点です。
平均値が緩やかに上昇している一方で、「登用が進む企業」と「まったく進んでいない企業」との間の格差は拡大しています。とりわけ規模の小さな企業においては、そもそも管理職のポスト数が限られていることや、採用・登用の機会自体が少ないことが影響し、組織構成の変化が起きにくい現状があります。また、業界による偏りも大きく、小売業(女性管理職割合19.5%)や不動産業(18.7%)で登用が進む一方、建設業(7.0%)や製造業(8.2%)といった現場主体の産業では依然として1割を切る状況が続いています。候補者となる女性社員の分母そのものの少なさや、従来の昇進モデル・労働環境がボトルネックとなっていることは明白です。
また、今後の見通しにおいて女性管理職が「増加する」と見込む企業は29.6%(上場企業では62.9%)、女性役員では10.8%にとどまり、大企業や上場企業主導の動きが目立ちます。公平な評価を掲げるだけでは、中長期的なパイプライン(人材の供給網)の構築には至らないという現状が伺えます。
今後、女性活躍を持続可能な経営基盤として定着させるためには、企業と社会全体によるアプローチが必要です。第一に、企業は単に「性別不問の評価」に依存するのではなく、女性社員がどのキャリアステージで伸び悩んでいるのかを構造的に把握しなければなりません。基幹業務への適切な配置や、昇進につながる意思決定機会の提供、さらには社内のロールモデル提示など、意識的な育成プログラムの設計が求められます。
第二に、自社単独での環境整備や研修の実施が難しい中小・小規模企業に対しては、行政や地域経済団体による実効性のある伴走支援が不可欠です。柔軟な働き方の導入支援や代替人員の確保など、実情に合わせたインフラ整備が必要です。
女性登用を「数値目標の達成」という一過性の課題として捉えるのではなく、組織全体の多様性と意思決定の質を高めるための「人的資本投資」として捉え直すこと。候補者層を中長期的に育てる土壌づくりこそが、いま日本企業に求められています。
参考リンク
帝国データバンク「女性登用に対する企業の意識調査(2026年)」
https://www.tdb.co.jp/report/economic/20260821-women2026/
(大津章敬)

